【3月13日 AFP】12日、米国の原子力専門家らが報道陣向けに電話会見し、東京電力福島第1原子力発電所1号機を冷却するため海水が注入されたことについて廃炉も覚悟した「最後の手段」で、「未知の領域に入った」と述べた。

 米シンクタンクInstitute for Policy Studiesの核兵器廃絶、環境、エネルギー政策の専門家、ロバート・アルバレス(Robert Alvarez)氏は「恐らく原子炉を冷却して安定させるための真水を注入する能力を失い、最後の手段として海水の注入に踏み切ったのだろう」と述べた。「アメフトで言うとへイルメアリー(劣勢にあるチームがゲーム終了間際に得点を狙って投げるロングパス)だ」

 福島第1原発は、非常用ディーゼル発電機も使用できなくなったため、原発に交流電流を供給できなくなるステーション・ブラックアウト(station blackout、全交流電源喪失)と呼ばれる状況に陥った。

 原子炉事故のシミュレーションを手掛けている物理学者のケン・バージェロン(Ken Bergeron)氏は、「ステーション・ブラックアウトは、実際に発生する可能性は極めて低いと考えられていたものの、何十年も前から非常に懸念されていた事象だ。我々は今、未知の領域にいる」と語った。(c)AFP/Ken Maguire