【8月17日 AFP】仏パリ(Paris)発のエールフランス(Air France)の旅客機が、目的地のレバノン・ベイルート(Beirut)で情勢不安が生じたことから行き先をヨルダンへ変更しようとしたものの燃料が足りず、内戦状態にあるシリアの首都ダマスカス(Damascus)に着陸する騒ぎがあった。しかも、追加の燃料費は乗客からカンパを募ったという。同機の乗客らが16日、AFPに語った。

 乗員乗客185人を乗せて15日夜にパリを飛び立ったエールフランスのボーイング(Boeing)777型機は、目的地のベイルート空港に通じる道路で暴動が発生したため、行き先をヨルダンの首都アンマン(Amman)に変更した。ところがアンマンに向かうには燃料が足りないことが分かり、急きょダマスカスに着陸したという。

 仕事で同便に搭乗していたという男性(42)は、「シリアに着陸すると兵士が大勢見えた。何か問題が起きたらしいと思っていたら、燃料費を払うお金がないというんだ」とAFPの取材に語った。この男性によると、乗務員たちは乗客に「燃料費を寄付してくれれば問題を解決できる」と、カンパを求めてきたという。

 エンジニアの男性(23)も、ダマスカスでエールフランス側と空港側が「燃料購入の交渉をしていた。エールフランスは現在、ダマスカスに就航していないためシリアに口座を持っていないからだ」と証言した。同社は3月にシリアで反体制デモが発生したことを受けて、ダマスカス便の就航を中止している。

 同機はダマスカスに2時間駐機した後、地中海の島国キプロスのラルナカ(Larnaca)に向かった。

 匿名で取材に応じたエールフランス従業員によると、ダマスカスでの給油に際し、乗務員は当初クレジットカードで燃料費を支払おうとした。しかし、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権に課された経済制裁のため、代金の引き落としが不可能だということが判明したという。ただ、この従業員は結局どのようにして燃料費が支払われたかは明らかにしなかった。(c)AFP