【7月28日 AFP】オーストラリア警察は28日、移植用の臓器売買の疑いで3月に1か所で家宅捜索を行い、現在も捜査が続いていることを明らかにした。

 オーストラリアの警察がこの種の事件を捜査したのは初めてで、普段は人身売買や性的目的の監禁事件などを担当する要員が捜査に当たっている。

 警察はこの件について具体的な説明は拒否したが、豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)は、警察の捜査は、移植する臓器を取り出す目的でフィリピンから自分より若い女性を連れてきた、腎臓病を患う高齢の女性と関係があると報じた。

 このフィリピンの女性から完全な同意を得ないまま臓器提供の取引がまとめられたが、シドニー(Sydney)の病院で行われた移植手術前の面談で発覚したと報じられている。

 オーストラリアの臓器移植支援団体「トランスプラント・オーストラリア(Transplant Australia)」によると、現在、移植希望者のリストには1951人が名を連ねているが、同国での臓器提供は厳格な手続きにのっとって行われているため、売買した臓器を使う違法な移植手術はほとんど不可能だという。

 同国の腎臓病患者支援団体「キドニー・ヘルス・オーストラリア(Kidney Health Australia)の」ティム・マシュー(Tim Matthew)ディレクターは、「誰かがやってきて『やあ、この人はフィリピンから来たわたしの友達なんです』なんて言えばすぐに疑われる。この医療制度の中で、そんなリスクを犯す人はいない」と語った。(c)AFP