【4月30日 AFP】北京五輪の聖火リレーが、中国のチベット(Tibet)問題を理由に世界各地で抗議や論争を呼ぶ中、中国の警察当局がチベット独立の象徴とされる旗を生産する南部広東(Guangdong)省の工場を強制捜査していたことが明らかになった。

 27日の香港紙「明報(Ming Pao)」によると、製造業の一大地帯である広東省で20日、海外からの受注によりチベット旗を生産している1工場が強制捜査を受けた。警察は出荷用に包装済みだったチベット旗数千本のほか、製造途中の旗も多数発見したという。

 同紙によると、警察はこれらの旗について、来月2日に聖火リレーが香港(Hong Kong)を通過する際に抗議デモを企画しているチベット支持派グループの注文で、香港に出荷される予定だったとみている。

 工場の所有者らは拘束されたが、警察に対し旗の柄がチベット独立を表すものだとは知らなかったと述べているという。また同紙は、テレビの報道やインターネット上で旗を見た従業員が、警察に通報したことから捜索が行われたと報じた。

 香港と隣接する広東省深セン(Shenzhen)市では、同省で作られたチベット旗が香港に出荷されないよう、車両検問が行われている。警察ではすでに一部の旗は香港に運ばれているとみている。

 チベット旗は、赤と青のストライプを背景に黄金の太陽が上り、手前で2頭の獅子が戯れる絵柄で「雪山獅子旗」と呼ばれている。中国では禁じられているが、特別行政区の香港では違法ではない。(c)AFP