【11月8日 AFP】国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は8日、同組織の下級職員が無許可で、児童誘拐未遂容疑で起訴されているフランスの慈善団体に、援助を提供していたことを明らかにした。

 この慈善団体は「ゾエの箱舟(Arche de Zoe)」は、チャドから児童103人を誘拐し、秘密裏にフランスに移送としようとしていた容疑でメンバーが逮捕・起訴され、同国で裁判が始まっている。

 ユニセフが発表した声明によると、チャドのアベシェ(Abeche)支部で最近採用された国際公務員を志願するジュニア職員が9月24日、「チルドレン・レスキュー(Children Rescue)」という団体の代表を名乗るグループの緊急要請を受け、少量ながら食品や乳児用製品など130ドル相当の物資の提供を行っていた。物品を提供する上で、ユニセフが定めている手続きは取られていなかったという。

 ユニセフによると、「チルドレン・レスキュー」は、「ゾエの箱舟」がチャドで活動する際の団体名。10月に入り、チャドでは子ども103人を国外へ移送しようとした「ゾエの箱舟」関係者21人が逮捕された。容疑者らは、子どもたちは紛争が続くスーダンのダルフール(Darfur)地方の孤児だと主張しているが、多くは誘拐されたチャド人の児童だとみられている。

 声明の中でユニセフはまた、事件となっている移送未遂は国際法違反であると非難し、事務所の上級職員はジュニア職員の行動を把握していなかったと弁明、ユニセフとして「ゾエの箱舟」とも「チルドレン・レスキュー」とも公式非公式を問わずいかなる合意にも達したことはないと明言した。

 食糧などを提供した職員は、グループが児童の国外移送を試みていたことを知らなかったとしている。ユニセフでは「チルドレン・レスキュー」に提供された物資として、食糧はF100とF75の栄養強化ミルク1パックずつと、栄養状態を計測するための上腕用テープ50本を確認している。(c)AFP