【6月7日 AFP】前日6日にサンピエトロ広場(St Peter’s Square)で、謁見中のローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)が乗った車両に飛び乗ろうとし取り押さえられたドイツ国籍の男は、収容されたローマ市内の病院で、7日も引き続き治療を受けている。ドイツ大使館が発表した。

 同大使館によると男の身元は、ドイツ南部カルルスルーエ(Karlsruhe)出身のFlorian Sperling(27)と判明した。広報官は、「男は精神病棟で治療を受けているが、退院については病院から何の情報も得ていない。また、男に対して何らかの起訴手続きが進んでいるという話も聞いていない。ドイツ警察に、過去の似た行為の記録があるかどうかも分からない」と述べた。

 事件発生時の6日朝、法王は週次一般謁見のため、巡礼者約3万人が集まったサンピエトロ広場を車両に乗って移動し始めたところだった。男は法王のジープのオープンカーへ乗り込む直前に、ボディーガードによって取り押さえられた。

 バチカン放送局総局長のフェデリコ・ロンバルディ(Federico Lombardi)神父は男について、「精神的に不安定な状態」で、「(法王を)殺害しようとしたのではなく、注目されたかっただけ」だと述べた。

 サンピエトロ広場では、1981年5月13日にも前法王ヨハネ・パウロ2世(John Paul II)の暗殺未遂事件が起きている。同事件では、やはり水曜日の一般謁見中、前法王を狙って、トルコ人のメフメト・アリ・アグカ(Mehmet ali Agca)が発砲、前法王は重傷を負った。(c)AFP