【10月29日 AFP】メキシコ湾(Gulf of Mexico)で4月に起きた米史上最悪の原油流出事故について、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が設置した事故調査委員会は28日、調査報告書を発表した。報告書は、セメント作業を担当した油田サービス大手ハリバートン(Halliburton)が、石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン(Deepwater Horizon)」が爆発する数週間前から、油井を密閉するためのセメントが不安定であることを知りながら、使い続けていたと指摘している。

 ハリバートンは油井を密閉し、爆発を引き起こす可能性のある炭化水素が油井内に侵入することを防ぐために、窒素を吹き込んだ泡状のセメントを使用していた。同社は2月に2回、4月の事故の数日前に1回、この泡状セメントの強度試験を実施した。調査委員会に提出されたこれらの試験結果は、セメントが不安定であることを示していた。ハリバートンはこの結果を認識しながら、同じセメントを使い続けた。

 一方、早くて4月中旬に実施された試験では、セメントは安定しているとの結果が得られたが、この結果は爆発前には判明していなかった。したがって、ハリバートンは「セメントが安定している」との結果なしに、ずっとセメントを注入し続けていたと報告書は結論づけている。

 この報告を受け、ハリバートンの株価は15%以上も急落した。(c)AFP