【7月18日 AFP】大気汚染が問題視されている北京五輪だが、米国選手陣は「みんなが同じ空気を吸うなら条件は同じ」という淡々とした姿勢で臨んでいるようだ。

「8選手とも同じ空気を吸うのなら、別にかまわないわ」と語るのは女子100メートル選手のローリン・ ウィリアムズ(Lauryn Williams)。「1か月同じ空気を吸っても死にはしないと思う。とにかく、フィニッシュラインを最初に踏んだ選手が勝者になるだけの話よ」

 とはいえ、長距離競技の選手の中には、長時間のイベントは回避する傾向も見られる。国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)も、場合によっては一部のイベントを延期するなどの方法を検討している。

 主催者側も、工場の操業を停止するなどして北京(Beijing)周辺の大気汚染緩和に努めるほか、五輪開催中は市内の自動車通行量も削減するとしている。

 女子サッカーチームのコーチは2試合目以降が問題だと指摘する。「2チームが同じ空気を吸うわけだけど、問題は2試合目以降でしょう」

 BMX(バイシクルモトクロス)の世界チャンピオンに3度輝いたカイル・ベネット(Kyle Bennett)は北京で走った際に大気汚染の影響を実感したものの、主催者の対応を信じているという。「1週間も(北京に)いると大気汚染の影響を実感するようになった。深呼吸するとつらくてね。でも、主催者が工場の操業を停止すると言っているんだから、大丈夫じゃないかな」

 大気汚染対策として、防塵マスクや酸素マスクが導入される可能性もあるだろう。喘息症状の有無を調べることで、選手団が北京入りする前に何らかの問題が明らかになるかもしれない。

 近代5種競技選手のEli Bremerも大気汚染問題には楽観的だ。「みんなと同じ空気を吸うだけのこと。『ああ、大気汚染が怖い!』なんて思いながら試合に臨むのはかえってよくない。いろいろと不都合はあるだろうけど、うまくやっていくつもり」

 女子200メートル世界チャンピオンのアリソン・フェリックス(Allyson Felix)と、ムナ・リー(Muna Lee)もおおむね同じ態度だ。「(大気汚染については)あんまり心配してないわ。どんな問題もただ乗り越えるだけ」(フェリックス)、「十分に経験を積んできたから、大気汚染くらい何とも思わない。試合に集中するわ」(リー)

 10種競技選手のブライアン・クレイ(Brian Clay)は北京で何が待ち受けていようと、カリフォルニア(California)でのトレーニングのとき以上に苦しい思いをすることはないだろうと推測する。

「どこで試合をしたって、天気やコンディションの不安はある。だから北京では、たとえ最悪のコンディションでもやらなければならない。わたしはカリフォルニアに住み、トレーニングも地元でしているが、あそこも大気汚染がひどい。そういうコンディションに備えておくのは重要だが、くよくよ考えすぎるのはよくない。考えすぎはトレーニングにも影響する」(クレイ)

 ソフトボールチームのピッチャー、ジェニー・フィンチ(Jennie Finch)は北京で8月に試合を行ったことがあるが、何の問題もなかったと証言する。「五輪とだいたい同じ時期に試合をしたことがあるけど、全然問題はなかったわ。コーチには、コントロールできるものはちゃんとコントロールしろと言われているけれど、大気汚染はコントロールできないわね」

(c)AFP/Jim Slater