【4月9日 AFP】米政府効率化省(DOGE)を率いる億万長者のイーロン・マスク氏は、ドナルド・トランプ政権のピーター・ナバロ大統領上級顧問(貿易担当)を「本当にばか」で、「れんが袋よりも愚か」だと非難した。両氏は世界を揺るがす米国の関税政策をめぐって対立を深めている。

この公の場での異例の口論は、ナバロ氏が電気自動車(EV)大手テスラの最高経営者(CEO)を務めるマスク氏を「自動車メーカー」ではなく、輸入部品に頼る「自動車組み立て屋」と呼んだことを受けて始まった。

世界一の大富豪であるマスク氏は以前から、市場を揺るがしているトランプ氏の新たな関税に反対する姿勢を示していた。

マスク氏はX(旧ツイッター)に、ナバロ氏がテスラはバッテリー、電子機器、タイヤを輸入しており、マスク氏は「安い外国製部品を欲しがっている」と述べる動画を投稿。「ナバロは本当にばかだ。ここで言っていることは明らかに間違っている」とのコメントを添えた。

マスク氏は他の一連の投稿でも、「テスラは米国製部品の割合が最も高い車だ。ナバロはれんが袋よりも愚かだ」と非難を続けた。

さらに、ナバロ氏を「ピーター・ばか」と呼び、同氏が一連の著書などで使用したアナグラムを用いた架空の評論家に言及し、「ナバロは自ら作り上げた偽の評論家、ロン・バラに尋ねるべきだ」とも述べた。

ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は記者会見で、2人の争いがホワイトハウスの関税に関するメッセージに悪影響を与えるかどうかを問われると、「男性はいつになっても少年だ。彼らの公の場での口論はこのまま続けさせる」「2人の貿易と関税についての見解が大きく異なるのは明らかだ」と答えた。

南アフリカ出身のマスク氏は最近、北米と欧州の間での自由貿易地域構想を支持したが、この考えはトランプ氏が掲げる関税政策とは相いれない。(c)AFP