■王妃の斬新なファッション性

 ダイアナ元皇太子妃は印象深い服装で、王室ファッションを現代化することにも貢献した。1985年にホワイトハウスでの晩餐会の際、彼女が着用した、ビクター・エデルスタイン(Victor Edelstein)によるミッドナイトブルーのベルベットドレスが最も有名な例だ。このドレスを着て、映画「サタデー・ナイト・フィーバー(Saturday Night Fever)」からのヒットソング「ユー・シュッド・ビー・ダンシング(You Should Be Dancing)」に合わせ、主演した米俳優のジョン・トラボルタ(John Travolta)と一緒に踊った。「トラボルタ・ドレス」とも呼ばれ、ウィキペディア(Wikipedia)で専用ページも作られたこの一着は、2013年のオークションにおいて24万ユーロ(約3112万円)で落札された。

 1996年にチャールズ皇太子と離婚した後は、再びスタイルを切り替えた。イギリス人デザイナーではなく、「ディオール(Dior)」や「クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)」、「シャネル(Chanel)」といった国際的なファッションメゾンを支持した。ダイアナ妃はフリルやタフタ、大きなイブニングドレスを捨て、より斬新なファッションを取り入れた。体にぴったりと添うジャック・アザグリー(Jacques Azagury)による膝上の丈のスカイブルーのドレス。これはアザグリ―が考える、当時の妃に許される丈だった。

「私たちが知っている通り、ダイアナ元皇太子妃は長年、世界で唯一のファッションアイコンであり、モダン・グラマーの先駆者であった。ダイアナ妃は自身のために、それを体現しなければならなかった」とサラ・モーア(Sarah Mower)は英大衆紙のデイリー・メール(Daily Mail)で書いた。

 ダイアナ元皇太子妃のファッションは広く真似され、今もキャットウォークやデザイナーたちにインスピレーションを与えている。ファッションサイトの「ASOS」は2016年10月、ダイアナ元皇太子妃からインスパイアされたコレクションを発表し、彼女の普段のファッションを提案した。彼女のスタイルはSNS世代へも影響を与えている。インスタグラム(Instagram)の「プリンセス・ダイアナ・フォーエバー(Princess Diana Forever)」というアカウントは16万人のフォロワーを持ち、毎日彼女のさまざまなファッションを投稿し、新たな世代に届けている。(c)AFP/Clement BOUTIN