【8月17日 AFP】20年前の今月、悲劇的な死を遂げた故ダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)。彼女は在位中、世界のトップデザイナーたちの助けを得て、英国王室のドレスコードに革命を起こした。

「ダイアナ元皇太子妃はジャッキー・ケネディ(Jackie Kennedy)やオードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)と同じようなファッションアイコンとなった。タイムレスでエレガント、それでいて共感できた」と、ダイアナ元皇太子妃の住まいであったロンドンのケンジントン宮殿(Kensington Palace)で開催されている『ダイアナ:彼女のファッションストーリー(Diana: Her Fashion Story)』展のキュレーター、エレーリ・リン(Eleri Lynn)は言う。

 1981年にチャールズ皇太子(Prince Charles)と結婚してプリンセスになったダイアナ元皇太子妃。婚前は「恥ずかしがり屋のダイアナ(Shy Di)」とあだ名された彼女だが、殻を打ち破った彼女は、服装がどれだけ強力なコミュニケーションツールになるかということに気付く。「元妃は、自分が言えないことを服に語らせるすべを身に着けた。キャサリン・ウォーカー(Catherine Walker)などといったデザイナーたちと力を合わせ、服をとおして彼女のパーソナリティを演出したのだ」とファッション誌タトラー(Tatler)のファッションディレクターのソフィー・グッドウィン(Sophie Goodwin)は今年2月、米紙ニューヨークタイムズ(New York Times)に語った。

 ダイアナ元皇太子妃はその場にふさわしいドレスを着用する技を習得した。ホスピスを訪れる際は、温かく近づきやすい印象を与えるために明るい色の服を着用。海外を訪れる際は、その国のナショナルカラーをイメージした服を選んだ。たとえば1986年に来日した際は、白に赤いドットのドレスを着用している。手袋をはめないのは「人々と出会うときに触れ合えることを好んだからだ」とリンは説明する。1987年にエイズ患者と握手を交わす元妃の写真は、患者に触れることで感染するなどといった、この病気に対する根拠のない偏見を払拭する助けとなった。

 その時代において一番多く撮影された女性であるダイアナ妃は、王室のファッションルールを理解していたが、それを変えていくことも恐れなかった。王族女性は喪中にしか着ないとされていた黒いドレスを着て、王室の儀礼を破った。彼女はタキシードや蝶ネクタイなど、中性的な装いをすることもあった。「プリンセスが着るとは誰も予想できない、とても大胆で面白いルックだった」とリンは語る。ダイアナ元皇太子妃は夜の催しでパンツルックを披露した、初めての王室女性でもあるという。