【6月15日 CNS】中国の首都・北京市から浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)までを結ぶ「京杭大運河」の全線通水が100年ぶりに実現した。4月28日、黄河より北部の山東省(Shandong)徳州市(Dezhou)と天津市(Tianjin)の間に放水され、南北を貫く大運河が一つになった。

 京杭大運河は全長約1800キロに達し、スエズ運河(Suez Canal)の10倍、パナマ運河(Panama Canal)の20倍の長さを誇る。北京市、天津市、河北省(Hebei)、山東省、浙江省、江蘇省(Jiangsu)にまたがり、黄河や海河(Haihe River)、淮河(Huai River)、長江(揚子江、Yangtze River)、銭塘江(Qiantang River)の5つの重要水系とつながっている。

 京杭大運河の沿岸は中国でも経済と文化の発達した地域だが、黄河の北側の長さ約707キロの運河は1970年代以降、水不足のため流れが途絶え、生態系の破壊や環境汚染などの問題が深刻になっている。

 このため中国水利部は北京市、天津市、河北省、山東省とともに京杭大運河の全線通水の取り組みを開始。南から北への分水、黄河の水、雨水や洪などから水源を調達し、総給水量は5億1500万立方メートルに達する見込みだ。

 山東省は大運河沿岸の自治体に100億元(約1987億円)を投資し、324の汚染防止プロジェクトを実施。90億元(約1788億円)を投資して運河の改修と生態系の回復、近隣の村民の移住などを行った。

 京杭大運河は隋王朝の煬帝が造ったと多くの人が考えているが、実際には2500年以上の歴史がある。大運河はもともと紀元前の春秋時代に掘られ始め、隋王朝で完成した後、唐・宋王朝で繁栄を極めた。元王朝で水路があらためて整備され、明・清王朝で浚渫工事が行われている。こうした長い年月で培われた中国の大運河は2014年に中国で46か所目の世界遺産に登録されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News