【4月3日 CNS】中国・湖南省(Hunan)益陽市(Yiyang)にある大通湖(Datong Lake)では近年、カニと水草を同時に養殖する取り組みが進んでいる。環境汚染を防ぐと同時に住民の収入増につながっている。

「200ムー(約13万3400平方メートル)近くあるこの干潟は4~5年間放置されていた。今年は200万元(約3800万円)を投資してチュウゴクモクズガニの繁殖基地にします。1ムー(約667平方メートル)当たりの利益は8000元(約15万円)に達する見込みです」

 益陽市大通湖区河壩鎮(Heba)の干潟で大型掘削機の動く音が鳴り響く中、「小康村チュウゴクモクズガニ養殖協同組合」責任者の張建清(Zhang Jianqing)さんは笑顔でこう話す。

 面積約82平方キロの大通湖は、湖南省最大の内陸湖。2018年から環境保全対策が始まり、湖にある養魚池は撤去するか、大幅改修が求められた。魚の飼料に入った廃水が湖の水質を悪化させていたためだ。

 長年、魚の養殖をしていた張さんは、他の漁師らとともに約200ムーの養魚池をすべて「カニ+水草」の養殖基地に転換。大通湖地区で最初の協同組合を設立した。

 3年にわたる取り組みの結果、張さんの養殖基地では1ムー当たりのカニ収穫量は平均80キロ、生産高は210万元(約4000万円)に達した。さらに、水生植物の植え付けによる利益は1ムー当たり6000元(約11万5000円)、最高で1万元(約19万円)になった。張さんは「魚の養殖は1ムー当たりの利益は最高でも3000~4000元(約5万7000~7万7000円)止まりで、赤字になる年もあった」と振り返る。

 大通湖ではこの2年間で水生植物の繁殖が進み、土壌や水質が大幅に改善された。上質の水で育ったカニはふっくらとしておいしいと消費者から絶賛されている。また、チュウゴクモクズガニは飼料を一切必要とせず、カタツムリや水生植物を食べているため、水質を汚染することはない。

 河壩鎮沙堡洲村(Shabaozhou)の貧困世帯だった姜国権(Jiang Guoquan)さんは昨年、協同組合に加入。60ムー(約4万平方メートル)の繁殖地でチュウゴクモクズガニを育て、7万元(約134万円)以上の純利益を上げた。彼に影響され、今年は沙堡洲村の107戸の村民全員が協同組合に参加し、繁殖面積は507ムー(約33万8100平方メートル)にまで増加した。

「今年は台湾と香港へのカニの輸出許可を取得しました。開発中の200ムーの干潟に4600匹の稚ガニを放っています」と張さん。「カニ+水草」の産業モデルは、地域の活性化を強力に後押ししている。(c)CNS/JCM/AFPBB News