【東京 24日 AFP】日米両政府は24日、日本側が米国産牛肉輸入条件を緩和する前提として、日本の査察官を米国食肉処理工場へ派遣することで合意したと発表した。 松岡利勝農相とマイク・ジョハンズ(Mike Johanns)米農務長官が、電話会談を通じて決定した。 安倍晋三首相の訪米を2日後に控え、日米間の懸案事項の1つとなっている米国産牛肉問題に進展がみられた形だ。 査察により米国の食肉加工工場が対日輸出基準を満たしていることが確認されれば、日本側は、現在行っている「全箱検査」を、すべて終了する。「全箱検査」は、日本向け牛肉の全箱開封検査を義務づけたもので、米側は撤廃を強く求めていた。 松岡農相は記者会見で、「日本側の要求がほぼ受け入れられた形だ。今後の米国産牛肉の安全が保証されることなり、大きな前進といえる」と語った。 ジョハンズ農務長官も、できるだけ早く日本側の査察官を受け入れたいとの声明を発表するとともに、「査察の完了とともに、日本向け牛肉にへの『全箱検査』は終了する」と強調した。 また、今回の合意について同農務長官は、「対日牛肉輸出拡大に向けた米国の努力における重要な第一歩」と歓迎の姿勢を示した。 日米両国は、同盟関係にありながら、「牛肉問題」が経済関係の障壁となってきた。かつて日本は、米国産牛肉の最大輸入国だったが、牛海綿状脳症(BSE)をめぐる懸念から、2003年に2回にわたり米国産牛肉の輸入を停止した。 これに対し米国側は、日本への経済制裁も辞さないとしたため、日本は食肉処理時の年齢が20か月齢以下の牛肉に限り、脳や脊髄などの危険部位を取り除くことを条件に、2006年7月に米産牛肉の輸入を再開した。 しかし、牛の月齢を下げるとの米国の要求は拒否。また、米国内の食肉処理工場3か所については、日本の安全基準を守っていないとして輸入を停止した。 輸入は再開されたが、安全性への懸念から国内での米産牛肉の売れ行きは芳しくなく、輸入停止前とは程遠い。 一方、米国は、他のアジア諸国に対しても米国産牛肉の輸入再開を働きかけている。米国との画期的な自由貿易協定(FTA)交渉を妥結した韓国が23日、米国産牛肉輸入の再開を決定している。 写真は東京都中央卸売市場食肉市場で牛肉を検査する卸売業者ら(2006年7月26日撮影)。(c)AFP/YOSHIKAZU TSUNO