【4月12日 CNS】中国でショートビデオやライブ配信を通じて、古典芸能の京劇の魅力を伝える動きが広がっている。

 中国の伝統家屋「四合院」に住む老人が、京劇の人気が衰えたことに落胆している。そこに現れた少年が一瞬のうちに京劇の名優に変身し、巧みな武技を披露。老人は涙を流して感動する-。これはショートビデオ投稿プラットフォーム「抖音(Douyin)」で朱鉄雄(Zhu Tiexiong)さんが投稿した作品だ。

 朱さんはコンピューターの特殊効果を使用し、通常の服装から京劇の衣装に数秒で着替える動画を作っており、わずか12本で4000万以上の「いいね」を獲得。フォロワーは700万人を超える。一部の「00後(2000年代生まれ)」のネットユーザーは「ショートビデオを見て京劇が好きになってきた」とコメントしている。

 中国では近年、京劇の人気に陰りが見られ、劇場を訪れる観客は高齢化が中心となっている。若者層に京劇文化を伝えることが重要となっている。

 一方、日常の生活やファッションに中国伝統文化を取り入れる「国潮(国風潮流の略)」がトレンドとなっており、朱さんのようにショートビデオを通じて京劇に新しい命を吹き込む人が増えている。

 上海戯劇学院(Shanghai Theatre Academy)を卒業した女性5人でつくる「上戯416女団」は京劇の伝統曲を歌うショートビデオを投稿し、プラットフォームのホット検索リストに登場している。京劇のメイクや衣装、動作の解説もして京劇文化を広めている。中国国家京劇院は名作「龍鳳呈祥」をオンラインで上演し、3万人以上が有料で視聴した。

 北京大学(Peking University)の張頤武(Zhang Yiwu)教授は「ショートビデオやライブ配信などの新しいメディアを使って伝統文化を広める方法は、大きな可能性を秘めている」と語る。

 抖音が昨年12月に発表したリポートによると、過去1年間で伝統演劇に関するビデオ件数は前年の2倍となった。1990年代と2000年代生まれが視聴者の半数以上を占めており、「若者が京劇ファンの主力になる」と話題となった。(c)CNS/JCM/AFPBB News