■自宅の資産価値が大幅に下がる可能性

ヘーズル郡区では、住民側が裁判所による建設中止命令を勝ち取ったほか、自治体も建設を一時停止する措置を講じた。

広大な伐採地には、数台の重機が使われないまま置かれている。切り倒された木材はすでに運び出された。

しかし、開発業者のノースポイント・デベロップメントは計画を諦めていない。

同社からの手紙が今も地元住民の郵便受けに次々と届いている。そこには「データセンターやわれわれの計画について、多くの誤情報や不安が広がっている」と記されている。

手紙には、郡区と住民向けの総額1億6500万ドル(約260億円)の地域支援策も示されていた。新たな警察署の建設やごみ収集料金の引き下げなどに充てられるとしている。

このうち4500万ドル(約71億円)は、データセンターの最初の建物が稼働した時点で、4500世帯に直接支払われる予定だ。

公式な統計データによると、かつて鉱業で栄えたこの町では、住民の6人に1人が貧困ラインを下回る生活を送っている。

「生活が苦しく、給料日前にはお金が底を突いてしまうような若い夫婦にとって、1万ドルは大金だ」──そう語るのは、居住区に暮らす元高校教師のジェフ・ファスナハトさんだ。

しかし、ファスナハトさんもネグラさんと同様、この提案を賄賂とみている。計画が進めば自宅の資産価値が大幅に下がる可能性があり、1万ドルでは到底その損失を補えないという。

「ここには、いつまでも手付かずの森があるはずだった」と、ゴルフ愛好家のファスナハトさんはため息をついた。

開発業者と郡区当局は、AFPの取材に回答しなかった。