【10月19日 AFP】米東部ペンシルベニア州の森林を見渡すテラスで、エド・ネグラさんは4通の手紙を並べた。いずれもデータセンターの開発業者から届いたもので、施設が稼働すれば各世帯に1万ドル(約158万円)の小切手を支払うと約束する内容だった。

「私は賄賂だと思っている」と、退職して年金生活を送るネグラさんは語る。

周囲には絵に描いたような美しい景色が広がる。秋の木々は赤褐色に色づき、山々の眺めも素晴らしい。ここは、間もなく行われる米中間選挙の激戦州、ペンシルベニア州の一角だ。

「老後を過ごすのに美しい場所だと思った」と、70代のネグラさんは話す。以前は隣接するニュージャージー州で大型建築資材店の店長を務めていた。

ネグラさん夫妻が移り住んだのは、24時間体制の警備が敷かれた広大なゲート付きの居住区だ。

ヘーズル郡区にある「イーグルロック・リゾート」には、森の中に数百戸の快適な住宅が点在する。ゴルフ場が二つあるほか、プールや乗馬施設、冬にはスキーを楽しめるゲレンデまで備えている。

しかし、居住区の下に広がる500ヘクタールを超えるエリアでは、大規模なデータセンターの建設に向けて森林が伐採されていた。

「チェーンソーの大きな音を聞くまで、何も知らなかった」とネグラさんは振り返る。2024年末、森林の伐採が始まっていることに気づいたという。

住民たちはすぐに反対運動を始めた。事前に何の説明もなかったことに憤り、騒音や環境汚染への懸念を募らせた。

こうした対立は全米各地で起きているデータセンターをめぐる紛争と重なる。データセンター建設は、11月3日の中間選挙でも争点の一つとなっている。

業界への反対運動を追跡する団体「データセンター・ウオッチ」によると、2026年1~3月には、住民の反対によって少なくとも75件のデータセンター建設計画が中止または延期された。

世論調査では、データセンターへの反発が党派を超えて広がっていることも示されている。

一方、共和党のドナルド・トランプ大統領は、人工知能(AI)分野で米国の優位を確立するためとして、データセンター建設を強く支持し、反対派を非難している。