■サプライチェーンの再編

シルポを傘下に持つ「フォジー・グループ」は8月初旬、供給網の再編を発表。一部のブランドを除いて商品の再入荷を可能にした。

丁寧に積み上げられた果物、魅力的な割引セール、軽快なBGMと、店内は一見すると普段通りに見える。

しかし、利用客らは携帯端末をじっと見つめている。中央駅近くのスーパーにロシア軍の攻撃があり、市内上空に濃い黒煙が立ち込めたためだ。

こうした事態を受けてタラセンコさんは、ロシア側が市民の間に「広範なパニック」を引き起こそうとしていると考えている。実際、冬に備えて備蓄しようとする住民によって、一部商品の買い占めも起きていたという。

それでも、本人は冷静な様子で「近所に小さな小売店ができたため、時々そこで基本的な食料品を買う。少し安くて助かる」と語り、また、状況がさらに悪化したとしても、ジャガイモを調達できる農家をすでに見つけてあるのだと続けた。

■インフレの波

キーウ郊外では、ロシア軍の攻撃を受けて大破した建物で、消防士らが消火・撤去作業に追われていた。現場には、黒く焦げた金属の巨大な骨組みだけが残されていた。

がれきの中には油のボトル、塩のパック、缶詰が転がっていた。破壊された建物は、スーパーチェーン「エコ・マーケット」の倉庫だった。

経済学者のオレグ・ペンドジン氏によると、こうしたロシアによる一連の攻撃により、ウクライナでは推計13億ユーロ(約2300億円)の損失が発生している。

ビソツキー農業食料相は、物流の再編により食料品の価格が最大2.5%引き上げられる可能性があると警告しており、また、ウクライナ中央銀行も8月の年率インフレ率が8.1%に達したことを明らかにしている。

キーウ郊外ボリスピリの市場では、買い物をしていたアンニャ・ドミテルコさん(35)が「家計に重く響いている」とため息をつく。

自身もこの市場で働いているというドミテルコさんは、「1000グリブナ(約3500円)あれば、以前は食料や肉、子どもたちへのお菓子が買えた。今じゃ何も買えないに等しい」とAFPに語った。

取材中、市場では警報が鳴り響いたが、ドミテルコさんは空を見上げることもなくショッピングカートを押した。

8月以降、倉庫が立ち並ぶこの小さな町の周辺ではロシアによる攻撃が相次ぎ、焼け焦げたにおいが漂っている。