■支持する市民と反発する業界

インドにはしっかりとした食品安全の枠組みがある。しかし、実際に機能していない側面があるのは事実だ。

2022~25年の政府データによると、連邦規制当局が検査した食品のうち約6分の1が主要な基準を満たしていなかった。

人々は、基準を満たさない屋台の存在を認識している一方、実績のあるレストランに対してはより高い基準を要求する。

ムンデ氏の厳しい手法は、違反を見逃すために官僚に賄賂を渡す業者がいると信じる市民からの支持を得ている。

こうした市民たちからは、「ムンデ氏のような役人が各部署に必要だ」「汚職や不正は、このような役人の厳しい行動によってのみ抑制できる」といった声が聞かれる。

しかし、ホテル業界団体からは、過剰な対応だとして反対意見が上がっている。

「事前通知や是正の機会なしに営業免許を突然停止したり終了したりすることは重大な懸念事項だ」と業界の3団体は声明を発表。ナレンドラ・モディ首相に直訴した。

裁判所も介入を始めている。地元メディアによると、ムンバイの高等裁判所はホテルの営業免許停止命令を阻止し、「ここはインドなのだから」としながら、規制当局に対応を和らげるよう指示したとされる。

不安は屋台店主らの間にも広がっており、多くが「次は自分たちかもしれない」と不安を隠せずにいる。

「小さな屋台が閉鎖されたら、どこに行けばいいのか?家族や子どもを養わなければならない」と、屋台でサンドイッチを販売するアショク・ベルマさんは言う。