【7月26日 AFP】ドバイに引越してわずか1年あまりのスティーブさん(仮名、35)は、中東紛争による不動産市場の冷え込んだ状況を活かし、住環境の水準を上げることに成功した。

ドバイでは現在、こうした経済情勢は非常にデリケートな話題となっており、スティーブさんも仮名で取材に応じた。

メディア業界で働くスティーブさんは、2025年にドバイへ到着した当時について「このエリアで物件を見つけるのは本当に難しく、家賃もかなり高騰していた」と振り返る。新しい部屋は以前より広く職場にも近いが、家賃は15%安くなったという。

ドバイ経済の柱である不動産市場は、この首長国が提供する華やかなライフスタイルに惹かれた世界の富裕層の流入に支えられ、近年急成長を遂げていた。

しかし、2月下旬に発生した中東紛争がその成長にブレーキをかけた。地域内の米同盟国に対するイランの報復により、ドバイ内の標的も攻撃に晒されたためだ。

高級ホテル「ブルジュ・アル・アラブ」や人工島「パーム・ジュメイラ」といった象徴的な名所でさえ被害を免れず、人口の90%以上を外国人が占めるこの街にとって大きな打撃となった。

戦闘は4月の停戦でいったん停止したが、7月に再開した。ただ再開後、ドバイは直接の攻撃対象にはなっていない。

しかし、匿名を条件に取材に応じたある不動産仲介業者は、「何があっても安全な街」というドバイのイメージは、受けた打撃から未だ回復していないと述べる。

■「不透明な状況」

現在の市場についてこの不動産仲介業者は「不透明な状況にある。人々の心理は二分しており、地域が長期的に不安定化したと考える人もいれば、今こそ投資の絶好の機会だと言う人もいる」と話す。

また、顧客が完全に消え去ったわけではないが、価格交渉の幅は広がっているとし、「戦争以降、市場は売り手市場から買い手市場へとシフトした」と指摘した。

英国の不動産コンサルティング会社ナイト・フランクによると、ドバイの主要物件価格は2021年以降平均82.9%高騰していたが、現時点では、立地にもよるが、市場全体で5〜20%ほど値下がりしているという。

ドバイの不動産市場は、2008年の金融危機や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時にも打撃を受けた。