【7月8日 CNS】今夏、北半球では各地で猛暑が続き、高温への対応が人々の大きな課題となっている。こうした中、中国製のユニークな家電が欧米市場で人気を集めている。セパレート式ポータブルエアコンやレーザー蚊取り機、家庭用製氷機など、ニッチながら実用性に優れた製品が、夏のさまざまな生活シーンに対応。コンパクトで独創的な設計を武器に、中国製家電の新たな魅力を世界に示している。

欧州では6月下旬から記録的な高温が続き、6月27日にはドイツ東部で41.5度、チェコで40.6度を観測し、いずれも観測史上最高を更新した。こうした中、中国の家電大手・美的集団(Midea)が欧州市場向けに開発したセパレート式ポータブルエアコン「PortaSplit」が各国で品切れとなり、一時は中古価格が新品の2~3倍まで高騰した。5月のドイツでの販売台数は前年同月比約37%増となり、スペインやフランスでも出荷が大幅に増加。ドイツでは在庫状況を確認する専用サイトまで登場し、最後の1台を求めて200キロ以上車を走らせる購入者もいたという。

欧州では賃貸住宅の割合が高く、環境規制や設置費用の高さなどからエアコンの普及率は高くない。歴史的建造物では壁に穴を開けることが認められず、多くの賃貸住宅でも室外機の設置が制限されているほか、設置には有資格者が必要で、数百ユーロ(約数万円)の工事費や定期的なメンテナンス費用もかかる。

こうした市場ニーズに応えたのが「PortaSplit」だ。工具不要で設置でき、室外機は窓用ブラケットで固定するため、建物を傷つけることなく利用者自身で取り付けや取り外しができる。高額な設置工事も不要で、この利便性が評価され、「TIME(タイム)」誌の「2025年ベスト・インベンション」にも選ばれた。

一方、「夏の救世主」として注目を集めているのが、江蘇省(Jiangsu)常州市(Changzhou)のエンジニア・王川(Wan Chuan)氏が開発した携帯型レーザー蚊取り機「Photon Matrix」だ。河原で撮影したレーザーで蚊を撃ち落とす動画は、ティックトック(TikTok)で7000万回以上再生され、クラウドファンディングサイト「Indiegogo」では量産資金として270万ドル(約4億3872万円)以上を調達した。販売価格648ドル(約10万5293円)の商品には、すでに70以上の国・地域から3000件を超える注文が寄せられている。

この装置は半径6メートル以内の蚊を95%以上の精度で検知し、0.003秒で照射、1秒間に最大30匹を駆除できる。AI画像認識とミリ波レーダーを組み合わせ、人やペットを検知するとレーザーを自動停止する安全機能も搭載。雨天時には雨粒を識別して自動待機する。王氏は、化学薬品を使わず庭やキャンプなど屋外でも利用できる環境性能と安全性が、海外ユーザーから高く評価されていると話す。

家庭用製氷機も、中国家電の新たな人気商品となっている。従来は家庭用冷蔵庫では製氷量が少なく、業務用は大型で持ち運びに適さないという課題があった。中国メーカーは小型で持ち運びやすく、さまざまな形の氷を作れる製氷機を投入。TikTokではイチゴやスイカを使った氷を作る動画などを配信し、多彩な利用シーンを紹介することで海外市場での販売拡大につなげている。

浙江省(Zhejiang)寧波市(Ningbo)で製氷機を製造する企業によると、近年の欧州の猛暑を背景に、小型家庭用やアウトドア向け製氷機の需要は増加している。今年1~5月の欧州向け出荷台数は前年同期比で70%以上増え、全体の約15%を占めたという。

専門家は、中国企業はかつて低コスト生産と大量供給を武器に海外市場を開拓してきたが、現在は独自技術と消費者ニーズを的確に捉えた製品開発によって価格決定力を高め、世界の消費トレンドをリードする存在へと変わりつつあると指摘している。これは、中国ブランドが世界のサプライチェーンにおける競争力を一段と高めていることを示すものだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News