【7月2日 AFP】11月の米中間選挙に向けた民主党予備選で、「民主社会主義者」や「進歩派」と呼ばれる急進左派候補が躍進し、党指導部に対し「慎重すぎ、大企業寄り、ワシントンの体制側に染まり過ぎている」と痛烈な批判を突きつけている。

象徴的なのは、元弁護士でパートタイマーのバリスタでもある民主社会主義者のメラット・キロス氏(29)が6月30日、西部コロラド州第1選挙区で行われた連邦下院選の民主党予備選で、約30年間議席を維持する現職ダイアナ・デゲット下院議員(68)を破ったことだ。

この番狂わせの1週間前には、民主社会主義者グループの支援を受けた急進左派の候補者たちが、ニューヨーク市で行われた民主党予備選で現職下院議員らを破るなどして勝利を収めたばかり。

こうした結果は、一部の民主党議員が「ニューヨーク特有の反乱」として片付けていた動きが全米に拡大している可能性を示唆している。

その背景には、企業献金や社会の停滞、そして民主党既得権益層(エスタブリッシュメント)への怒りがある。民主党既得権益層について、多くの若年層の有権者が「ドナルド・トランプ大統領に敢然と立ち向かえていない」と考えている。

急進左派の長老で、バーモント州選出のバーニー・サンダース上院議員(無所属)にとって、コロラド州の民主党予備選の結果は、既得権益層に反対を突きつけるより広範な政治運動の現れだった。

サンダース氏はX(旧ツイッター)に「潮目が変わりつつある」と投稿し、キロス氏が大物議員を破ったことを「快挙」と呼び祝福。

「米国民は現状維持の政治にうんざりしている。国民が求めているのは、寡頭政治(少数独裁政治)に立ち向かい、労働者階級の家族のために戦ってくれる下院議員だ」と付け加えた。

一方トランプ氏は、急進左派の台頭を「共産主義者」が猛威を振るい、米国史上最大の「脅威」と主張している。

トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、「彼らは聞こえがいいという理由で『民主社会主義者』という言葉を使っているが、実際に話しているのは共産主義のことだ」と語った。

キロス氏の勝利が特に際立っていたのは、敗れたデゲット氏がそもそも民主党穏健派(中道左派)として活動していたわけではないからだ。

デゲット氏は「進歩派議員連盟(CPC)」のメンバーで、著名な急進左派議員たちからの支持も受けていた。

親パレスチナの活動家で反イスラエル派でもあるキロス氏は、こうした急進左派の立場よりもさらに「左」からデゲット氏を攻撃し、有権者は家賃高騰や低賃金、企業の政治的影響力をより直接的に理解している、より若い代表者を必要としていると訴えた。

キロス氏の勝利は、「アメリカ民主社会主義者(DSA)」や「ジャスティス・デモクラッツ」など、経済政策や外交政策、選挙資金制度改革において民主党をさらに左傾化させようとするグループに熱烈に歓迎された。