【6月24日 東方新報】上海市政府参事で華東師範大学(East China Normal University)高齢化研究院の呉瑞君(Wu Ruijun)執行院長は7日、中国新聞社(CNS)の取材に対し、上海市の高齢者産業はすでに育成・試行段階を終え、産業化の成熟期に入ったとの見方を示した。

2026上海国際高齢者福祉・介護機器・リハビリ医療博覧会には、延べ10万3000人が来場した。民生保障と経済成長の両面を担うシルバーエコノミーの活力を示すとともに、大都市における高齢者福祉の新たな可能性を示す場となった。

呉氏は、今回の展示会では高齢者向けサービスや製品が「概念」から「実際の利用シーン」へ移りつつある点が大きな特徴だと指摘した。先端技術の在宅介護への導入が進み、リハビリ機器やスマート機器もより小型化、日用品化している。さらに、初めて高齢者向け金融コーナーが設けられたことは、産業と資本の連携が進み、政策頼みから市場化へ向かっていることを示しているという。

上海の高齢者産業は、これまでの単一の政策主導型から、政策、技術、資本、市場、地方政府が連携する多面的な発展段階に移っている。関連産業のつながりや異業種連携も加速し、分野ごとの専門化や標準化も進んでいる。呉氏は、補助金に依存しない持続可能な市場構造がほぼ形成されたとみている。

一方で、呉氏はシルバーエコノミーについて「福祉事業を土台に、産業がそれを支えるものだ」と説明した。上海のように高齢化が進み、元気な高齢者も多い都市では、生活困窮者への保障を福祉の基本としながら、比較的若い高齢者の多様な消費需要を産業で受け止める必要があるという。

上海老博会の主催者側責任者である李征偉氏も、高齢者向け製品は「介護専用品」としてではなく、高齢者に優しい暮らしを支える日常的な製品として普及すべきだと述べた。

先進的な機器をより多くの人に届けるには、地域コミュニティを拠点に、政策、企業、デジタル技術を一体化させることが重要だ。呉氏は、福祉機器やスマート機器を単なる自己負担の商品ではなく、公的制度で利用できる健康サービスの一部に位置づけることを提案した。また、地域の介護サービスセンターと企業の長期連携や、福祉機器レンタルのデジタルプラットフォーム整備も必要だとした。

見守り機器についても、単に通知を送るだけでは不十分だという。現在、多くのスマート機器は高齢者の転倒や心拍異常を検知すると家族のスマートフォンに通知するが、その後の対応が途切れやすい。呉氏は、今後は機器、データ、地域介護拠点、医療機関、救急機関をつなぐ仕組みを整え、状況に応じて電話確認、訪問支援、救急搬送を行う体制が必要だと指摘した。

呉氏は「高齢者が本当に求めているのは製品そのものではなく、生活上の課題を解決することだ」と強調する。業界は製品を売るだけでなく、個々の生活に合った解決策を提供する方向へ転換する必要がある。

今回の上海老博会では、個別ニーズに対応したスマート介護ソリューションも多く展示された。今後は、より多様な企業が業界を越えて連携し、高齢者に優しい暮らしを支える製品やサービスの開発が進むと期待されている。(c)東方新報/AFPBB News