【5月16日 東方新報】中国・雲南省(Yunnan)普洱市(Pu’er)の墨江ハニ族自治県(Mojiang Hani Autonomous County)は、北回帰線が通る町として知られている。北回帰線は、太陽が真上から照らす北限にあたる緯線で、熱帯と温帯を分ける目安にもなっている。墨江ではこの地理的特徴を生かし、天文や自然、ハニ族文化を紹介する観光地として「墨江北回帰線標識園」が整備されている。

2026年4月、「七彩雲南・海外メディア推薦」世界華文メディア連盟中国訪問団が墨江ハニ族自治県を訪れ、国家4A級観光地である同園を取材した。園内では、北回帰線をテーマに、天文知識の紹介、ハニ族文化、双子にまつわる地域文化などが展示されている。

園内には、北回帰線を示す門や日時計、太陽を観測する施設などが山の地形に沿って配置されている。来園者は、日時計の影の動きや天文展示を通じて、太陽と地球の関係を学ぶことができる。また、熱帯植物と温帯植物が見られるエリアもあり、北回帰線付近ならではの自然環境を体感できる。

毎年夏至の正午ごろ、太陽は北回帰線上をほぼ真上から照らす。そのため、墨江では「立てた棒の影がほとんど見えなくなる」現象が見られる。このことから、墨江は「太陽が折り返す場所」とも呼ばれている。夏至の時期には、多くの観光客や天文愛好家が訪れ、この現象を観察している。

墨江を特徴づけるもう一つの要素が「双子」だ。統計によると、墨江県には1200組以上の双子がおり、双子の出生率は8.7‰とされる。これは世界平均の2‰を大きく上回る数字だ。常住人口約27万人の町としては、双子の割合が高い地域として知られている。

園内の「双子星広場」には、北回帰線が中央を通っている。広場には、双子の誕生を願うハニ族の夫婦を表した彫刻や、双子にまつわる伝説が残る二つの井戸がある。現地では、この井戸の水を飲むと双子に恵まれるという言い伝えもあり、観光客が願掛けをする場所にもなっている。

墨江では、こうした双子にまつわる地域文化を生かし、毎年メーデー連休の時期に「墨江北回帰線国際双子祭」を開催している。これまでの20年間で、世界40以上の国と地域から延べ1万8000組以上の双子が参加した。双子は、墨江の地域文化を発信する重要なテーマとなっている。

双子が多い理由については、まだ明確な結論は出ていない。北回帰線上にある地理的条件や、地域特有の環境、ハニ族の食生活、遺伝的要因などが関係している可能性が指摘されている。墨江特産の紫米には葉酸などの微量元素が含まれており、長年の食習慣との関連を考える見方もある。ただし、いずれも確定的な説明ではなく、今も研究や議論が続いている。

北回帰線という地理的特徴と、双子にまつわる文化が重なり合うことで、墨江は独自の地域イメージを築いてきた。墨江北回帰線標識園は、天文や自然を学ぶ場所であると同時に、ハニ族の文化や人びとの願いに触れられる場にもなっている。(c)東方新報/AFPBB News