【5月10日 AFP】イタリアで開幕した国際美術展「ベネチア・ビエンナーレ」では、ロシア、ウクライナ、イスラエル、パレスチナが同時に出展しており、世界の紛争が大きく影を落としている。

世界最大の現代美術イベントで9日から一般公開され庭園では、ロシア館がウクライナの前線から救出された鹿の彫刻のすぐ近くに立っている。

ロシアは2022年2月のウクライナ侵攻以降はビエンナーレから姿を消していたが、今年3月初めに復帰が発表されると国際的な非難が巻き起こった。

ウクライナのテチアナ・ベレジナ文化相は、「ビエンナーレにロシアを参加させるのは、友人との夕食に連続殺人犯を招くようなものだ」と述べている。

芸術に関して戦争は別であり、この名高い祭典には誰もが歓迎されるべきだと主張する人々について、ベレジナ氏は「完全に間違っている」と述べ、戦争開始以降346人のウクライナ人芸術家がロシアに殺害されたと付け加えた。

ベレジナ氏はAFPに対し、「ロシアがわが国に来ると、図書館を破壊し、本を焼き、博物館を破壊する」「この戦争では文化そのものが標的にされている」と語った。

ロシアとウクライナに加え、紛争当事国である米国やイスラエルもビエンナーレに出展している。一方で、当初出展予定だったイランは最終的に不参加を決めた。

イスラエルはビエンナーレの追加展示スペースであるアルセナーレにパビリオンを構えており、ウクライナ館からも遠くない。イタリアが国家として承認していないパレスチナには独自のパビリオンはないものの、パレスチナ自治区ガザ地区に関連した展示が行われている。

ロシア、イスラエル、米国のパビリオン付近には警官が配備されており、世界的な地政学的緊張が、芸術の領域内であったとしても、戦争中の国々の共存を潜在的に危険なものにしていることを思い起こさせる。

伊通信社ANSAによれば、ベネチアで8日に親パレスチナ派デモが約2000人を集め、ビエンナーレへのイスラエル参加に抗議した。

またロシアのパビリオンでは6日、ウラジーミル・プーチン大統領に批判的な立場を取るパンクバンド「プッシー・ライオット」とウクライナのフェミニスト集団「Femen」のメンバーが、顔をフードで覆い、胸をあらわにして初めて共同抗議活動を行った。(c)AFP