中国の辺境の地方都市、「大きな集客力」を競う
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【4月30日 CNS】どうすれば人を集め、消費を活性化できるのか。もともと集客力に乏しい地域が、どうやって新たに人の流れを生み出すのか。そして集まった人の流れを、どう地域発展の実際の収益につなげるのか。中国東北部、西北部、西南部などの辺境地域に点在する多くの地方都市は、かつての「うらやむだけの段階」から、いまや「追い上げる段階」へと切り替わっている。一、二線都市がスポーツ大会や公演イベントを開いて短期間で注目を集める手法を取り入れ、それをさらに発展させることで、消費拡大の効果を得るだけでなく、イベントの「一瞬の盛り上がり」を地域発展の「持続的な原動力」へと変えつつある。
4月12日、「美しい新疆を駆ける」2026トルファン交河ハーフマラソンが、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)トルファン市(Turpan)高昌区の葡萄鎮で開かれた。コースはイスラム様式の塔・蘇公塔やカレーズ(地下水路)などの有名スポットを結び、ゴールは世界文化遺産の交河故城に設定された。交河故城は千年の歴史を持ちながら、観光地としての印象はまだそれほど強くない古代都市遺跡だ。このコースは「中国で最も標高の低いコース」と銘打たれ、道中の壮大な景観や歴史遺跡も写真映えする背景として注目を集め、全国から3000人のランナーが参加した。さらに観戦客も各地から訪れ、この西北辺境の小都市は目に見える形で消費需要を取り込んだ。
ここ数年、中国ではマラソン大会が急増しており、2025年だけでも約600大会が開催された。トルファン交河ハーフマラソンも本来は数多くの大会の中の目立たない一つにすぎなかった。ところが、この大会は「ダークホース」のように一気に注目を集め、ネット上での話題も高まり続けた。その背景には主催者側の二つの工夫があった。一つは話題づくりの巧みさだ。注目度の高い市民ランナーを招待し、ランニング愛好者、会社員、フィットネス愛好者、医療従事者など幅広い層に情報が届くようにしたことで、大会の知名度を一気に押し上げた。
もう一つは、地元色あふれる賞品の発想だった。賞金のほかに、選手には長さ1.5メートルの巨大羊肉串や、新鮮なブドウをいっぱいに詰めたガラス製トロフィーが贈られた。見た目のインパクトが強く、表彰式の動画はネットで広く拡散された。ネット上では「トルファン交河で大きな串を食べたい」「新疆の人は気前がよくて親切だ」「交河は楽しくておいしい場所だ」といった声が相次ぎ、地域のイメージ向上にもつながった。
さらに現地は、すかさず観光向けの特典パッケージも打ち出した。4月11日から17日まで、今回のハーフマラソンの参加証を持つ人は複数の観光地で割引を受けられた。交河故城やベゼクリク千仏洞などの文化財観光地は入場無料となり、火焔山景勝区、カレーズ民俗園、アイディン湖などは入場料が半額になった。この大会を通じてトルファン交河の知名度と来訪者数は急上昇し、それに伴って地域の収益拡大も期待されている。
同じく西部辺境に位置するチベット自治区(Tibet Autonomous Region)でも、知名度の低かった地方都市が「大会+産業+増収」という発展モデルを着実に形にしている。チャムド市(Chamdo)ペンバル県は、チベットの70余りの県・区の中では目立たない高原の町だが、このところ歌や踊りの競技や手仕事の腕比べによってにぎわいを見せている。
第2回「紅色昌都・振興前進」歌舞コンテストの予選会場では、第1回手編み大会のチャムド市級チャンピオン、ダンゼンさんのブースに多くの観光客が集まり、編み上げたチベット風工芸品はたちまち売り切れた。ペンバル県はさらに、農畜産の特産品展示販売も大会に組み込み、会場そのものを没入型の「青空マーケット」に変えた。シガツェ市(Shigatse)ラツェ県のヤク肉の干し肉や、ペンバル鎮のチベット香などの農産特産品は、これをきっかけに新たな販路を開いた。大会期間中だけで、同県の農産特産品の売上高は3万2000元に達した。
ペンバル県はまた、競技会場を三色湖や千年沙棘林などの特色ある景勝地に設け、「試合観戦とペンバル観光」を組み合わせた観光ルートを作り上げた。今大会は春のスタート以来、同県の観光客数が延べ10万6000人を超え、前年同期比97%増となった。観光総収入も3440万元(約8億円)余りに達し、周辺の農牧民は飲食や宿泊サービスを提供することで、30万元(約698万4420円)以上の増収を得た。
中国で最も春の訪れが遅い東北地方でも、春の訪れを告げる伝統行事「喊江節(かんこうせつ)」が新たな形で展開されている。このイベントは「老己を春へ呼び込もう」をテーマに掲げ、少し前に中国の若者の間で流行したネットミーム「愛你老己」(「自分を愛そう」の意味を込めた表現)を取り入れ、およそ1万人の市民と観光客を集めて「喊江(川に向かって叫ぶ儀式)」を行った。人びとは響き渡る掛け声と古くからの儀式によって北国の春を呼び覚まし、開江魚の宴、民俗芸能、地元グルメ市、文化クリエーティブ市などが東北ならではのカーニバルを形作り、地域振興のにぎわいを映し出した。2024年には初の「1万人喊江」でギネス世界記録(Guinness World Records)を打ち立て、2025年には地域全体での開催へと拡大し、今年はさらにホジェン族の漁猟文化を掘り起こしつつ、若者文化とも結びつけた。こうして喊江節は、単なる季節行事から、東北を代表する春の観光文化ブランドへと成長している。(c)CNS/JCM/AFPBB News