【3月29日 AFP】2月28日の米国とイスラエルによるイラン攻撃で始まった中東地域での紛争は、開始から1か月が経過した。地域の複数の国を巻き込む形で広がる紛争に、28日、新たな勢力が加わった。イランの支援を受けるイエメンの反政府武装組織フーシ派だ。同派は数か月ぶりとなるイスラエルへのミサイル発射に踏み切った。

中東での紛争勃発後、フーシ派は同盟国(イラン)への支持を表明しつつも、自らは「引き金に指をかけている」と警告するにとどめ、直接の参戦は控えてきた。しかし28日、ついにその引き金を引き、イスラエルの軍事拠点に向けてミサイルとドローンを発射したと発表した。イスラエル側もイエメンからのミサイル発射を探知し、迎撃作業に当たったことを明らかにしている。

英ロンドンのシンクタンク、チャタムハウスの研究員、ファレア・アルムスリミ氏は、同派の参戦について「深刻かつ深い懸念を抱かせるエスカレーションだ」と指摘。すでに不安定な情勢にある紛争をさらに拡大させ、地域情勢や世界貿易に重大な影響を及ぼすリスクがあるとAFPに語った。

■狙われる「第2の海峡」

フーシ派は2014年以降、首都サヌアを含むイエメンの広範囲を支配下に置いている。専門家は、同派が長年支援を受けてきたイランへの「恩返し」として、最終的に参戦することは予測済みだったと分析する。

フーシ派の攻撃について、米リスクコンサルティング会社「バシャ・レポート」はX(旧ツイッター)への投稿で、国内の支持者や国外の同盟者に対し「主眼は依然としてパレスチナの大義にある」というメッセージを送る意図があると分析。同時に、現時点では米国やサウジアラビアを直接の標的にはしないというシグナルを送っているとの見方を示した。

しかし、今後の動きとして懸念されるのが海上交通への攻撃だ。フーシ派は紅海を見下ろす山岳地帯の拠点から、無人機やミサイルで船舶輸送を強力に妨害する能力を持つ。インド洋からスエズ運河への入り口となるバブ・エル・マンデブ海峡が脅かされれば、すでに脆弱な世界市場にさらなる衝撃が走ることになる。

■サウジアラビアの出方

イランによってホルムズ海峡が事実上封鎖されている現在、サウジアラビアにとって紅海沿岸のヤンブー港は石油輸出の「最後の安全な出口」となっている。ここがフーシ派によって封鎖されるような事態になれば、これまで慎重に中立を保ってきたサウジアラビアが報復攻撃を行う可能性も排除できない。

イエメンが再び本格的な戦争状態に陥れば、過去の紛争で深い傷を負った同国の民間人への人道的な影響も破滅的なものになると予想される。