【3月20日 AFP】デンマークの公共放送DRは19日、同国自治領グリーンランドの領有を狙うドナルド・トランプ米大統領の動きをめぐる緊張の高まりを受け、デンマークとその同盟国が1月に米軍の侵攻を懸念し、グリーンランドに軍を実戦配備していたと報じた。

デンマーク軍がグリーンランドに配備された根拠となった1月13日付の軍事作戦命令書を確認したという。

この文書には、南米ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を排除した米軍の作戦直後に、グリーンランド防衛に備える作戦が記述されていた。

匿名を条件にDRの取材に応じたデンマーク軍関係者は、「トランプ大統領がグリーンランドを買収したいと繰り返し発言しており、ベネズエラで起きた事態を見れば、あらゆるシナリオを真剣に検討せざるを得なかった」「米国の公的機関は以前のように機能していない」と述べた。

DRによると、北大西洋条約機構(NATO)の軍事演習「アークティック・エンデュランス」を装い、デンマーク軍の一個連隊と複数の精鋭部隊がグリーンランドに配備されたほか、フランス軍の山岳部隊、ドイツ軍とスウェーデン軍の部隊も派遣された。

だが、別の情報筋がDRに語ったところによると、これは演習ではなく実戦配備だったという。

この情報筋は「曖昧な点は一切なかった」として、部隊は輸血用血液と爆発物を携行して派遣されたと述べ、これが演習ではなかったという主張を裏付けた。

デンマーク軍、デンマーク政府、グリーンランド自治政府はいずれもこの報道についてコメントしていない。

トランプ氏は、米国の国家安全保障を確保するためにはグリーンランドを支配する必要があると繰り返し述べており、長らくグリーンランド確保のために軍事力を行使する可能性も排除していなかった。

デンマークは米国と同様、NATOの原加盟国。

数週間にわたる攻撃的な発言によってNATOが近年で最も深刻な危機に陥った後、トランプ氏は1月21日に脅しを撤回し、NATOのマルク・ルッテ事務総長とグリーンランドに関する「枠組み」合意に達したと発表した。ただし、その詳細は依然として不明瞭だ。

その後数週間で、NATOは北極圏の安全保障強化を目的とした「アークティック・セントリー」作戦を開始し、デンマーク軍も米軍も参加している。(c)AFP