【3月28日 CNS】10兆元(約229兆円)、一つの大きな目標が浮上した。

3月6日、国家発展改革委員会の鄭柵潔(Zheng Shanjie)主任が「第14期全国人民代表大会第4回会議」の経済テーマの記者会見で、「第15次五か年計画(2026-2030)」の終わりまでに、人工知能(AI)関連産業の規模は10兆元以上に成長すると述べた。そして「6つのネットワーク」を紹介した。

6つのネットワークとは「水利インフラの総合ネットワーク」「電力網(スマートグリッド)」「計算力ネットワーク(データセンター算力網)」「新型通信網(5G、次世代)」「都市地下パイプライン網(ガス・上下水・熱供給)」「物流網」である。重点分野には、総合立体交通施設、消費、低空経済、「AI+(プラス)」、教育・医療などのインフラ・公共サービス施設が含まれる。鄭主任は「今年、これらの分野への暫定的な投資額は7兆元(約160兆3000億円)を超える見込みだ」と語った。

明らかに、AI関連施設が投資の重点となっている。

一つは「第15次五か年計画」終了時の目標であり、もう一つは目の前の具体的な投資である。そのシグナルはこれ以上なく明確だ。このビジョンにはデータ面の確固たる裏付けもある。工業情報化部の李楽成(Li Lecheng)部長が「第14期全人代第4回会議」初日(3月5日)に「部長通道(省庁担当者の取材エリア)」で、一連の具体的なデータを公表した。2025年、中国のAIコア産業規模は1兆2000億元(約27兆4800億円)を超え、企業数は6200社を超えた。中国企業が発表したオープンソースの大規模モデルのダウンロード数は世界一となった。

統計データによると、中国の「一定の営業規模以上の製造業」におけるAI技術の応用普及率は30%を超えている。一つは「コア産業」、一つは「関連産業」で、統計の対象基準は異なるが、共に「AIがあらゆる産業に力を与え、一般家庭に浸透する」という一つのシグナルを指し示している。中国インターネット情報センターのデータによると、25年に生成AIの普及が加速し、ユーザー規模は6億200万人に達し、普及率は42.8%となった。これは、インターネットユーザーの2人に1人が生成AIを利用している計算になるという。

実際、「AI+(プラス)」はとっくに国家戦略にまで高められている。政府活動報告の打ち出し方からもその一端をうかがい知ることができる。24年の政府活動報告で初めて「AI+(プラス)」行動が提唱され、25年には持続的な推進が盛り込まれ、そして26年には「深化・拡大させる」とした。3年の歳月を経て、「AI+(プラス)」行動は、戦略的な構想から経済社会の実践へと、一歩一歩歩みを進めている。

一つのマイルストーンとなったのは、国務院が25年8月に公布した「『AI+』行動の深く掘り下げた実施に関する意見』だ。これは中国初のAI分野における綱領的な文書である。この文書は、30年までに中国のAIの質の高い発展を全面的に推進し、次世代スマート端末や「知能体(AIエージェント)」などの応用普及率90%超えを実現し、「スマートエコノミー」を中国経済発展の重要な成長極として、技術的恩恵の普及と成果の共有を推進することを明確に定めている。

これに対応する形で、今年の政府活動報告で初めて「スマートエコノミーの新たな形態の育成」が提唱された。国研新経済研究院の創設者・朱克力(Zhu Keli)院長は「スマートエコノミーの新たな形態の育成は、新しい質の生産力発展の核心的な取り組みであり、経済構造転換の重要なブレークスルーである」と指摘する。

これはAIと実体経済、デジタルインフラ、産業エコシステムを深く融合させ、「AI+(プラス)」行動を深化させることで、スマート端末やAIエージェントの商業化・規模化を促進し、「知能原生( AI-native)」(AIを前提として最初から設計されたサービスや産業)の新業態を育成するものだ。

「AI+(プラス)」から「スマートエコノミー」への移行は、政策の重点が、従来の情報化、デジタル化から、技術基盤、産業活用、民生サービス、社会ガバナンスの全領域をカバーする全面的な知能化(スマート化)へとシフトしたことを意味する。

タイムテーブルとロードマップは、すでに明確になっている。AIの日常生活消費への急速な普及が進み、10兆元規模の市場という力強い成長機会が今まさに爆発しようとしている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News