【3月18日 AFP】アイルランドのミホル・マーティン首相(65)は17日、毎年恒例の聖パトリックデーに合わせた米ホワイトハウス訪問で、イラン紛争、移民問題、英首相との関係など、さまざまな問題について、ドナルド・トランプ米大統領(79)に反対意見を丁寧かつはっきりと伝えた。

マーティン氏は記者会見で、「われわれが望むのは、中東紛争の平和的解決だ。小国であるわれわれの立場はそういうものだ」と述べた。

マーティン氏は、米イスラエルによる対イラン軍事作戦の中、トランプ氏に対して厳しい態度で臨むよう国内で政治的圧力を受けている。

マーティン氏はトランプ氏に対し、丁重ながらも毅然とした態度で臨んだ。トランプ氏は質疑応答の大部分を、原油輸送の要衝ホルムズ航行再開への協力要請を拒否した同盟国を非難することに費やした。

トランプ氏が北大西洋条約機構(NATO)は米国を支持しなかったことで「愚かな過ちを犯した」と非難し、米欧の緊張が高まっていることに触れ、マーティン氏は「欧州首脳と米政権が協議を進め、落としどころを見つけ出せることを願っている」と述べた。

だが、トランプ氏は満足しなかった。同氏が息を整え、報道陣に静粛を求め、そして答えるまで、緊張した時間が流れた。

トランプ氏は、「つまり私が言いたいのは──あなたの発言すべてに同意するが──米国はウクライナに関して欧州を支援したが、欧州はイランに関して米国を支援していない。欧州首脳全員が、イランに核兵器を持たせてはいけないと認めているのに」と述べた。

その後、イランの指導部をナチス・ドイツ指導者アドルフ・ヒトラー以来最悪の連中と呼び、イラン指導部と欧州に対する不満を長々と口にした。

■異なる視点

もう一つ厄介な場面は、トランプ氏がイラン問題で英国のキア・スターマー首相が協力していないと批判した際、マーティン氏がスターマー氏を擁護した時だった。

マーティン氏は、「彼は非常に誠実で、まともな人物だと私は信じている」「私たちは、あなたには彼とうまくやっていける能力があると思っている。これまでも彼とうまくやってきたでしょう」と述べた。

アイルランドの首相が、かつての宗主国である英国の首相をこれほど強く擁護するのは異例だが、マーティン氏はトランプ氏に歴史の教訓も与えた。

トランプ氏が英国の戦時指導者ウィンストン・チャーチル元英首相の胸像を指さし、スターマー氏は「ウィンストン・チャーチルではない」と述べると、マーティン氏は、「アイルランドの視点は少し異なる」と述べて笑いながらトランプ氏の腕に軽く触れ、英国からのアイルランド独立戦争でチャーチルが果たした役割に言及。

「彼は自らアイルランドにちょっとした困難をもたらした」と述べた。

45分間の会談で数少ない発言の機会を得たマーティン氏は、トランプ氏のトレードマークとも言える欧州移民問題に対する激しい非難を否定。

「まず第一に、欧州は今でもとても住みやすい場所だ」「欧州は移民であふれかえっているとか、そういう誤ったイメージを持たれがちだ」と述べた。

また、対イラン攻撃は国際法違法だとアイルランド大統領が発言したことについて問われると、トランプ氏は「ほら、彼は私がいるから幸運なんだ」と答えた。

どうやら、昨年11月にアイルランド大統領に就任した左派のキャサリン・コノリー氏が女性であることを認識していなかったようだ。トランプ氏はイラン問題で頭がいっぱいなので、アイルランド大統領の性別を間違えてしまったのも無理はないだろう。(c)AFP