【三里河中国経済観察】科技イノベーションの波が京津冀に押し寄せる
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【3月14日 CNS】一枚の卵の殻の上で、北京精雕の工作機械が髪の毛よりも細い模様を刻んでいる。この技術は航空エンジンのブレードにも応用可能で、その「頭脳」は北京市で設計され、「両手」は天津市(Tianjin)で製造され、最終的に河北省(Hebei)で完成品として組み立てられる。
企業間のこうした地域をまたぐ協力モデルにより、先端技術は研究開発から実用化までのスピードを大きく高めている。2025年末に開かれた中央経済工作会議では、「北京国際科技創新センター」を「北京(京津冀)国際科技創新センター」へと拡張・格上げする方針が正式に打ち出された。これは単なる地理的範囲の拡大ではなく、発展理念そのものの転換を意味する。
京津冀(北京市・天津市・河北省)の「最強の頭脳」が拡張されることで、どのような新たな原動力が生まれるのか。
近年、北京は単独都市として国際的なイノベーション拠点づくりで大きな成果を上げてきた。北京は「ネイチャー・インデックス—研究都市ランキング」で9年連続世界首位を維持し、「国際科技創新センター指数」でも4年連続で世界3位にランクイン、科学センター指数では初めて世界1位となり、世界の科学最前線に位置している。
2025年末時点で、北京には国家重点実験室が145か所あり、量子情報、脳科学、類脳研究などの最先端分野で新型研究機関10か所が設立されている。しかしその一方で、発展のボトルネックもある。京津冀地域ではイノベーション資源の分布が偏り、国家実験室や大型研究施設、一流大学、トップ人材が北京に集中しているのに対し、天津と河北の研究力は相対的に弱い。
現在、新たな「イノベーションの三角形」が形成されつつある。
研究報告によれば、京津冀3地域間の研究協力は着実に増加している。2013年から2024年にかけて共同論文数は年平均18.6%増加し、研究ネットワークの結びつきも強まった。北京を中核に、北京―天津を主軸、北京―保定(Baoding)・石家荘(Shijiazhuang)を副軸とする研究協力ネットワークが形成されている。
北京は引き続きイノベーションの「頭脳」として基礎研究と独創的研究に注力し、天津は先進製造の強みを生かして成果転換のハブとなり、河北は産業受け皿として実用化や実証の場を提供する。雄安新区の中関村科技園にはすでに260社以上が集まり、その65%が北京から進出している。人工知能や低空経済などの特色ある産業チェーンも形成されている。
「第14次五か年計画」期間中、北京から天津・河北への技術契約取引額は2300億元を超え、「第13次五か年計画」期の2倍となった。その数字の背後には、地域を越えて連携する研究者や技術者、企業家たちの努力があり、一つのイノベーション共同体が静かに形づくられている。
北京(京津冀)国際科技創新センターへの拡張により、この世界有数のイノベーション拠点は青写真から現実へと加速している。
2026年2月10日に開かれた天津市の科学技術会議では、この拡張の機会をとらえ、国家級プラットフォームの誘致や重大な独自成果の創出、重要改革の先行実施を進める方針が示された。
また、「現代化首都都市圏空間協同計画(2023―2035年)」も承認され、国家発展改革委員会は、イノベーションチェーンと産業チェーンをより密接に結びつけ、北京の成果を天津・河北の産業需要と的確に結びつけていく考えを示している。
この拡張の意義は地域発展にとどまらず、中国の世界的イノベーション地図における位置づけにも関わる。
サンフランシスコ湾岸や東京湾岸などの世界的イノベーション拠点はいずれも地域協調の成功例だ。北京の独創的研究力、天津の先進製造能力、河北の産業受け皿が組み合わされば、世界級のイノベーション発信地と先進製造クラスターの構築は十分可能だ。
2026年は重要な政策の節目となる。省市を越えた資源配分の仕組みが整備され、統一的な技術市場が形成され、京津冀から新たなテック企業が次々と生まれるだろう。
2026年の春に立ち、今後10年、20年を展望すれば、「北京国際科技創新センター」から「北京(京津冀)国際科技創新センター」への転換は、単なる名称変更ではなく、イノベーションの在り方そのものの進化を意味する。時代の潮流は前へと進み、中国のイノベーションも加速している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News