(c)Reuters/news1
(c)Reuters/news1

【03月05日 KOREA WAVE】米国とイスラエルによるイラン空爆をきっかけに中東情勢の緊張が高まり、事態が長期化する可能性が指摘される中、韓国経済が「物価上昇」と「成長鈍化」という二重圧力に直面するとの懸念が強まっている。韓国は原油輸入の大半を中東に依存する構造を持つため、原油価格の上昇はエネルギー価格や輸送費の上昇につながり、消費者物価を押し上げる。同時に企業のコスト負担も増え、内需や投資の冷え込みを招く可能性がある。

4日のソウル外国為替市場で、ドル・ウォン相場は前営業日の終値(1439.7ウォン)より26.4ウォン安い、1ドル=1466.1ウォンで取引を終えた。時間外取引では一時1ドル=1506.37ウォンまでウォンが急落したが、その後は1500ウォンを下回る水準に押し戻された。

ウォン相場が1500ウォンを下回ったのは、2009年の世界金融危機以来およそ17年ぶり。

地政学的緊張の高まりによって投資家のリスク回避心理が強まり、資金がドルや金などの安全資産に流入している。ウォン安と原油価格上昇が同時に進行すれば、輸入物価を通じたインフレ圧力がさらに強まる可能性がある。

こうした中、最大の焦点となるのがホルムズ海峡だ。

韓国は原油輸入の約70%、液化天然ガス(LNG)の約20%を中東から調達しており、その多くがイランやサウジアラビアなど産油国が集中するホルムズ海峡を通過する。

国際エネルギー機関(IEA)によると、この海峡では1日およそ2000万バレルの原油が輸送され、世界需要の約20%を占める。もし封鎖や輸送障害が発生すれば、供給不安から原油価格は一段と上昇する可能性がある。

実際、2日(現地時間)の国際原油市場では、WTI先物(4月渡し)が前日比6.28%上昇し、1バレル=71.23ドル(約1万660円)で取引を終えた。ブレント先物(5月渡し)も6.7%上昇し、1バレル=77.74ドル(約1万1620円)だった。

韓国石油公社によると、2024年基準で韓国の1日平均原油輸入量は約282万バレル。単純計算では、原油価格が1バレル当たり10ドル(約1490円)上昇すると、年間で約103億ドル(約1兆5347億円)の追加負担が生じる。これは2025年の経常黒字の約8%に相当する規模だ。

海外投資銀行は、情勢次第で原油価格の変動幅がさらに拡大する可能性を指摘している。

米金融大手のJPモルガンは、ホルムズ海峡の封鎖など供給障害が発生した場合、ブレント原油価格が120ドル(約1万7880円)に達する可能性があると分析。ゴールドマン・サックスも封鎖時にはさらに18ドル(約2680円)程度の上昇余地があるとみている。

一部では、長期的な封鎖が起きれば150ドル(約2万2350円)に達する可能性も排除できないとの見方も出ている。

現代経済研究院は、原油価格が100ドル(約1万4900円)を超えた場合、韓国の経済成長率が約0.3ポイント押し下げられ、消費者物価上昇率は1ポイント以上押し上げられる可能性があると試算する。

さらに150ドル水準の「オイルショック」に近い状況になれば、物価上昇率は2.9ポイント上昇し、成長率は0.8ポイント低下、経常収支も大幅に悪化する可能性があると分析した。

韓国銀行は2026年の経済成長率を2.0%、消費者物価上昇率を2.2%と予測している。しかし原油価格が想定を大きく上回れば、金融政策の運営は難しい局面を迎える可能性がある。

景気後退と物価上昇が同時に進む「スタグフレーション」に陥るかどうかは、原油高の持続期間と上昇幅に左右される。

戦闘が限定的で短期間に収束すれば影響は比較的抑えられる可能性があるが、衝突が長期化すれば世界需要の減速と重なり、韓国の輸出にも打撃を与えかねない。

専門家は「ドル高と原油高が同時に進めば輸入物価の圧力が急速に強まる」と指摘する。一方で、戦略備蓄油の活用や米国など中東以外の産油国の増産、代替輸送路の確保などが一定の緩和要因になるとの見方もある。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News