ハメネイ師殺害後のイラン 「軍事政権化」か「体制維持」か 不透明な指導部の行方
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【3月2日 AFP】米国とイスラエルによるイラン攻撃の継続と最高指導者アリ・ハメネイ師殺害は、同国の指導部に不確実性をもたらした。
ドナルド・トランプ米大統領は、1月にピークを迎えたイランの聖職者指導部に対する大規模な抗議活動への支持を表明し、またイラン攻撃作戦終了後には、イラン国民が権力を掌握するよう促している。全国規模に拡大した抗議活動では、体制側による厳しい弾圧が行われた。
■現状の継続
「現在、国は『厳しく統制されている』ようだ」と地中海戦略研究財団(FMES)のピエール・ラズー代表は語る。イラン当局は大学を閉鎖したほか、都市に治安部隊を配備し、インターネットを遮断した。
「抗議デモを防ぐためにあらゆる手段が講じられている。市民が抑圧的な装置、つまり60万人のバシジ(志願準軍事組織)と25万人の国内治安部隊が無力化されたと確信しない限り、再び街頭に出ることはないだろう」と指摘した。
ラズー氏はAFPに対し、イランの政治システムには最高指導者の後継手続きが存在し、指導者の排除が直ちにシステムの終焉(しゅうえん)を意味するわけではないと言い、「この体制には多くの権力中枢が存在し、代替機能が幾重にも備わっている」とした。
また「体制の継続が新しいルールのもとで行われる可能性があり、聖職者に不利になるかもしれないが、同じ人々が権力を握り続ける」との見方を示した。
グルノーブル政治学院の研究者テオ・ネンチーニ氏も「新しい最高指導者の選択が体制の方向性を完全に左右する」と述べている。
ベネズエラでは1月、米軍がニコラス・マドゥロ大統領を拘束した後、副大統領のデルシー・ロドリゲス氏がトランプ氏の支持を受けて政権を維持。米政府への譲歩と引き換えに体制を存続させた。
フランス系イラン人社会学者のアザデ・キアン氏は、ラジオ放送局フランス・アンフォに対し、トランプ氏が「体制内のより穏健な派閥との間で、何らかの合意を図ろうとしている可能性がある」と推測した。
キアン氏はまた、ハメネイ師の殺害は「革命防衛隊(IRGC)と文民指導部の間で権力の輪の中に重大な対立を生じさせる可能性がある」とも指摘したが、「しかし現時点では、彼らは体制を維持するために協力している」と続けた。