出張シェフ、年越し料理の新潮流
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【3月1日 東方新報】春節(旧正月、Lunar New Year)が近づく中、年夜飯(年越し料理)をめぐる外食市場に新たな動きが出ている。団らんの「特別感」や食事体験を重視する人が増え、自宅に出張シェフを招く家庭が目立ってきた。
北京市朝陽区に住む王(Wang)さんは「店で食べる年夜飯はどこか物足りない。出張シェフならプロの料理を楽しみながら、家でゆっくり過ごせる」と話す。湖南省(Hunan)株洲市(Zhuzhou)の楊(Yang)さんも「料理はすべてシェフに任せ、食後は家族で春節特番を見られる。片付けに追われないのがいい」と語る。
今年の春節は、人件費が例年の2~3倍となる1500~2000元(約3万3238〜4万4317円)程度に上昇しているにもかかわらず、予約は取りにくい状況だ。北京市で出張シェフサービスを提供する閆(Yan)さんは「毎日十数件から二十数件の問い合わせがある。1月に入ると春節期間の予約は次々と埋まり、除夕(旧正月の大みそか)から旧暦6日までの1週間はすでに満席。8人のシェフが連日フル稼働だ」と話す。
サービス形態は柔軟で、食材込みのパッケージと人件費のみのプランがある。価格は1人200元(約4431円)程度、1セット2000元から、高いものでは1万元(約22万1588円)超まで幅広い。年越し料理や親族の集まりなど、用途に応じてきめ細かく対応している。
北京の出張シェフ会社の李(Li)氏は「味のカスタマイズが強み。淮揚料理(江蘇省<Jiansu>揚州<Yangzhou>・淮安<Huaian>を中心とする上品で繊細な味付けの料理)、魯料理(山東省<Shandong>発祥で中国八大料理の一つとされる伝統的な料理)、四川料理など複数の系統に対応し、要望に合わせてメニューを組み立てる」と説明する。こうした需要志向のサービスは、従来の宴会場の定型メニューや予約の取りづらさを補い、祝祭期の飲食市場に新たな活気をもたらしている。
中国社会科学院の趙京橋(Zhao Jingqiao)氏は、出張シェフは消費の高度化と祝祭需要が結びついた現象だと指摘する。個別化志向の高まり、家庭での食事シーンの価値向上、サービス消費の拡大といった潮流を映しているという。
もっとも、業界はまだ発展途上で、サービス基準の整備など課題もある。趙氏は、行政の監督、業界の自律、プラットフォームによる管理などを通じた制度づくりが必要だとし、監督範囲の明確化や段階的な資格基準、食品安全基準の整備を提案する。
消費の高度化とサービス転換の流れの中で、出張シェフは春節の一時的な話題にとどまらず、日常的なサービスへと広がり、外食市場の新たな需要を生み出す可能性があるとみられている。(c)東方新報/AFPBB News