■女性参政権は「悲劇」

こうした攻撃は、米国の右派による2方向からの攻勢――現代フェミニズムへの反対と、男らしさの再評価――のさなかに起きている。

右派の一部、特にキリスト教ナショナリスト(国粋主義者)は長年にわたり、現代社会における女性の役割の見直しを訴え、合衆国憲法修正第19条で認められた女性参政権の廃止さえ要求してきた。

扇動的な牧師デール・パートリッジ氏は先月の動画の中で、合衆国憲法修正第19条は「米国にとって道徳的にも政治的にも悲劇だった」「なぜか? 女性は導くためではなく、従い、感じるためにつくられたからだ」と述べた。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のジュリエット・ウィリアムズ教授(ジェンダー学)は、このような発言は、男性に「自らが本質的に(女性よりも)優れていると理解すること」を求める家父長制的な世界観の典型だと述べた。

トランプ政権の閣僚たちは男らしさをアピールしてきた。その典型が、兵士たちと一緒に腕立て伏せをする動画を頻繁に投稿するピート・ヘグセス国防長官だ。

ロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官は最近、トランプ氏のテストステロン(男性ホルモン)値を称賛し、別の高官が70歳以上の男性としては「最高」だと評したと述べた。

ウィリアムズ教授は、このイデオロギーにおいて、キリスト教右派の理想に異議を唱えるリベラル派の白人女性に対する「憎悪は必要不可欠だ」と述べた。

米調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、2016年、2020年、2024年の大統領選で、女性全体では民主党候補(ヒラリー・クリントン元国務長官、ジョー・バイデン前大統領、カマラ・ハリス前副大統領)に投票する有権者が多かったが、白人女性に限ると過半数がトランプ氏に投票した。

いくつかの調査で、若い有権者の間で男女の政治的な対立、分極化が進んでいることが示されている。

Z世代(1990年代後半~2010年代前半ごろに生まれた世代、現在13~28歳)の女性は概してプログレッシブを自認する一方、2024年大統領選でのトランプ氏の勝利に大きく貢献した若い男性は右傾化を強めている。

ウィリアムズ教授は、民主党を支持する女性に対する攻撃は、「自身の社会的な価値が特定の外見とどれほど密接に関連しているかをこれまで以上に意識している」若い女性に影響を与えることを目的としている可能性があると指摘した。