米NY市長に初のイスラム教徒、民主党内の分断浮き彫りに「内戦状態」
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【11月5日 AFP】米メディアによると、4日投開票のニューヨーク市長選で民主党の左派ゾーラン・マムダニ氏(34)が当選を確実にした。イスラム教徒として初めてのニューヨーク市長となる。
マムダニ氏は、ドナルド・トランプ大統領、ビジネスエリート、保守系メディアに政策とイスラム教徒であることを激しく攻撃されたにもかかわらず勝利した。
また、バージニア州とニュージャージー州の知事選でも民主党が勝利した。議会の主導権が争われる来年の中間選挙に向けて、政治ムードが変化していることを示唆している。
クイーンズ区選出のニューヨーク州議会議員を務めるマムダニ氏は、高騰する生活費対策として、無料市営バスの運行、保育サービスの提供、市営食料品店の設置を約束し、有権者にアピールした。
ニューヨークの庶民が直面する生活費問題に焦点を当て、気さくな人柄、ソーシャルメディアの巧みな活用、そして大規模な街頭活動を通じて支持を集めた。
自称社会主義者のマムダニ氏は、民主党予備選でアンドリュー・クオモ前ニューヨーク知事を破るまでは、ほぼ無名だった。
トランプ氏は土壇場で選挙戦に介入し、1月に就任すればイスラム教徒として初のニューヨーク市長となるマムダニ氏を「ユダヤ人嫌い」と呼んだ。
トランプ氏は4日、自身のソーシャルメディアに、「ユダヤ人嫌いを公言しているゾーラン・マムダニに投票するユダヤ人は愚か者だ!!!」と投稿した。
市長選は、無所属で出馬したクオモ氏が2位、市民犯罪パトロール団体「ガーディアン・エンジェルス」の創設者で共和党候補のカーティス・スリア氏は3位となった。クオモ氏は自身が勝利する可能性を高めるため、数週間からスリア氏に撤退を迫っていた。
スリア氏は結果発表前にAFPに対し、「アンドリュー(・クオモ氏)はいつも失敗を他人のせいにする」「当然、今回は私を責めるだろう」と語った。
ビル・アックマン氏をはじめとする著名な実業家たちは、マムダニ氏を激しく攻撃し、対立候補たちに資金提供を行った。一方、ニューヨーク・ポストをはじめとする保守系メディアは、全面的に否定的な報道を行った。
投票率は高く、午後3時(日本時間5日午前5時)までに145万人が投票し、前回の総投票者数を上回った。
マムダニ氏の思いも寄らない大躍進は、民主党内の中道派か左派かという議論を浮き彫りにしている。投票を前に、一部の有力者はマムダニ氏への支持を表明したが熱意のないものだった。
クオモ氏は投票後、「民主党内は内戦状態だ」「社会主義者率いる極左勢力が、彼らが民主党穏健派と呼ぶ人々に挑戦している。私は民主党穏健派だ」と述べた。
シラキュース大学のグラント・リーハー教授(政治学)は、結果発表を前に、マムダニ氏は「こうした厄介な政治論争の中心」で苦労を強いられるだろうと述べた。
「誰もが隙あらば攻撃しようという姿勢を見せており、この街を統治するのは非常に難しい」「プログレッシブ(進歩派、急進左派)にとっては、もっと統治しやすい街を制した方が得策だっただろう」と付け加えた。
ニュージャージー州知事選では、民主党候補で元海軍ヘリコプターパイロットミッキー・シェリル氏が、共和党候補でトランプ氏が支援する実業家ジャック・シアタレッリ氏を破った。
バージニア州知事選でも、民主党候補のアビゲイル・スパンバーガー氏が共和党候補のウィンサム・アールシアーズ副知事を破った。(c)AFP