【1月18日 AFP】インドネシアは、急増するエネルギー需要を満たしつつ、温室効果ガスの排出を抑制する手段として原子力発電に期待を寄せている。だが、2032年までに初の小型モジュール炉(SMR)を導入するという目標には大きな課題が立ちはだかっている。

同国が原発を初めて試験的に導入したのは1965年2月。当時のスカルノ大統領の下、試験用原子炉が稼働されたのが始まりだ。

それから60年たつが、東南アジア最大の経済規模を誇るインドネシアには、研究用原子炉が3基あるものの、発電を目的とした原発はまだ存在しない。

これまで、同国の膨大なエネルギー需要は、石炭によって支えられてきた。石炭は、同国に豊富に埋蔵されているが、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を多く排出する。

しかし、「CO2排出量の増加を抑え、いずれ削減していくには原子力が不可欠だ」と、英オックスフォードエネルギー研究所の上級研究員フィリップ・アンドリューズスピード氏は指摘する。

プラボウォ・スビアント大統領は、エネルギー安全保障の確保と、15年以内の石炭火力発電の廃止を公約に掲げている。

現在、国内発電量の約3分の2を石炭に依存しているインドネシアは、2050年までに炭素排出量ネットゼロ(実質ゼロ)の達成を目指している。

政府は、国内の総発電量を400ギガワットと見込み、2060年までにそのうち40〜54ギガワットを原子力で賄う方針を示している。

エネルギー相のバフリル・ラハダリア氏は、初の原子炉をボルネオ島に「2030~2032年まで」に設置する考えを表明。

導入が予定されているのは小型モジュール炉(SMR)で、従来型の原子炉より発電容量は小さいものの、組み立てや輸送が容易という利点がある。

建設予定の原発総数は明らかにされていないが、政府はすでに建設候補地の選定を始めている。

だが、地震活動が活発な「環太平洋火山帯」に位置するインドネシアにとって、原発建設は容易ではない。

国家エネルギー評議会のダダン・クスディアナ代表代行はAFPに対し、「現在、原発建設の候補地として29か所が挙げられている」と明らかにした。

いずれの候補地も同国最大の島であるジャワ島以外となっており、政府が開発を重視している群島の中部・東部に位置している。候補地の一部は、エネルギー需要の大きい鉱山地帯の近くに設定されており、そうした地域への電力供給も視野に入れている。