【12月26日 AFP】南太平洋の小国パラオは、750万ドル(約11億6900万円)規模の協定の一環として米国を追放される不法移民を最大75人受け入れることに合意した。両国が発表した。

ドナルド・トランプ米大統領は政権復帰以来、不法移民の国外追放を加速させ、国境検問所の取り締まりを強化している。

パラオ当局は24日、新たな覚書に基づき、米国を追放される第三国国民最大75人について、パラオで居住・就労できるようにすると述べた。

見返りとして、米国は公共サービスとインフラ整備のためパラオに750万ドルを供与する。

数百の火山島と環礁から成るパラオは人口約2万人。人口の少ない国ランキングでも上位に入る。

両国によると、米国からパラオに追放される不法移民は犯罪で起訴されていない人物で、パラオの労働力不足解消に役立つという。

パラオはこの協定に基づき受け入れる第三国国民について、個別に判断し合意した上で受け入れると説明している。

この協定は、パラオのスランゲル・ウィップス大統領と米国のクリストファー・ランドー国務副長官の電話会談後に発表された。

米国務省は声明で、「このパートナーシップを通じて、米国とパラオは、安全保障を強化し、コミュニティーを守るための具体的な措置を講じるとともに、安全で、より安心でき、より繁栄したインド太平洋地域を育んでいく」と述べた。

ランドー氏はウィップス氏との電話会談で、米国はパラオで新病院の建設と災害への対応能力の向上に尽力していると述べた。

米国はまた、パラオの公務員年金制度の崩壊を防ぐための改革に600万ドル(約9億3200万円)、法執行対策にも200万ドル(約3億1200万円)の追加資金を提供する。

パラオ諸島は、フィリピンの東約800キロに位置する。

ウィップス氏の就任以来、米国はパラオで軍事的利益を拡大してきた。これには、中国が台湾海峡での軍事活動を活発化させる中で重要な早期警戒システムとなる米軍の長距離レーダー基地の建設も含まれる。

パラオは1994年に独立したが、長年にわたる「自由連合協定(コンパクト)」に基づき、米軍による領土使用を認めている。

その見返りとして、米国はパラオに数億ドル規模の財政支援を行い、パラオの国防について責任を負っている。(c)AFP