EU、中国の保安検査機器大手を調査 同国政府からの違法な補助金疑い
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【12月12日 AFP】欧州連合(EU)は11日、中国の保安検査機器大手「威視(ニュークテック、Nuctech)」に対し、中国政府から違法な補助金を受けていた疑いで調査を開始したと発表した。威視は、空港、港湾、税関向けの保安検査機器を製造している。
この調査は、2024年4月に行われたポーランドとオランダにある威視の施設への欧州委員会による抜き打ち検査に基づくもの。
欧州委員会は、中国政府による威視の特定の支援が「域内市場をゆがめる外国補助金に当たる可能性がある」と考えていると説明。
助成金、優遇税制措置、優遇融資の組み合わせを通じて、威視への補助金がEU27か国における「競争に悪影響を及ぼした」可能性があると「懸念」していると述べた。
威視は2021年、国家安全保障上の懸念からリトアニアに参入を禁止された。
欧州委員会のテレサ・リベラ上級副代表(クリーンで公正な競争力のある移行担当)は調査開始について発表する際、「保安検査機器は、欧州が開かれながらも安全であることを確保する上で不可欠な役割を果たしている」「そのため、保安検査機器の市場において公平な競争環境を確保したいと考えている」と述べた。
この調査は、国から補助金を受けている外国企業による不公正な競争に対処することを目的とした2023年のEU規則に基づき開始された。
威視は、原子力、IT、検知システムなどを幅広く手掛ける中国政府系の清華同方(Tsinghua Tongfang)の子会社。
威視は声明で、欧州委員会による調査の対象となったことを認め、「独立性と透明性を保ち、そして国際貿易・競争ルールに完全に準拠して」事業を展開していると強調。
「EU内の公正で透明な市場環境を確保するという欧州委員会の役割を尊重する」と述べ、事実関係を「正確かつ公平な方法で評価する」ことを求めた。(c)AFP