■「恐ろしい」

カアブネさんと4人の兄弟、その家族は現在、先祖代々暮らしていた家から北東に約13キロ離れた場所で一緒に暮らしている。

仮住まいの外では物干しざおに洗濯物が干され、子どもたちがサッカーボールを蹴っていたが、カアブネさんはこの地を故郷のようには感じられないと語った。  

「私たちはこれまで住んだことのない場所にいる。ここでの生活は厳しい」と述べた。

ヨルダン川西岸では、入植者による暴力の激化に加え、アウトポスト(前哨地)と呼ばれる違法入植地が爆発的に増加している。

イスラエルの入植地はすべて国際法で違法だが、アウトポストはイスラエルの国内法でさえ違法とされている。だが、多くのアウトポストは最終的にイスラエル当局によって合法化されている。

AFPは、カアブネさんが避難を余儀なくされる数週間前に、アルハトゥルラ地区の自宅を訪ねていた。

カアブネさん宅に続く未舗装道路からは、丘の上にある移動住宅とイスラエル国旗が見えた。この地域に今年複数出現したアウトポストの一つだ。

道の反対側の谷間には、住民が最近避難した無人のベドウィン集落があった。

カアブネさん宅を訪れたAFP記者は、入植者2人が車で丘の頂上に登り、ふもとで暮らすカアブネさん一家を監視しているのを確認した。

カアブネさんは当時、「状況は恐ろしい」と語り、日々の嫌がらせと牧草地の減少により、生活を維持するのが不可能に近くなっていると語った。

それから3週間もたたないうちに、カアブネさんは避難を余儀なくされた。

「入植者たちが夜通し叫び声を上げ、石を投げつけ、敷地内を歩き回っていた」「彼らのせいで夜も眠れず、日中は自由に動くこともできなかった」とカアブネさんは語る。