【11月27日 AFP】アイルランドは26日、移民(在留外国人)・難民の受け入れ条件を厳格化し、人口増加を抑制すると発表した。

ジム・オキャラハン法務・内務・移民相は記者団に対し、「わが国の昨年の人口増加率は1.6%だった。欧州連合(EU)平均の7倍に当たる」と述べた。

さらに、人口増加率は「極めて高く」、公共サービスを逼迫(ひっぱく)させ、住宅不足を引き起こしているとして、「政策対応が必要」との認識を示した。

アイルランドでは難民認定申請が急増しており、2024年の難民認定申請者数は1万8651人で過去最多となった。2023年は1万3276人だった。

アイルランドは流入する移民の数が増えたことで、2024年の人口増加率は過去最高を記録。2025年4月時点での人口は推定546万人となっている。

移民の流入は対立を招き、首都ダブリン近郊の難民認定申請者向けホテル前では先月、抗議デモが暴動に発展した。

アイルランド政府の措置は、英国が移民・難民の受け入れ条件を厳格化したことを反映している。英国では移民・難民に対する国民の懸念から、反移民を掲げる極右政党「リフォームUK」が支持を伸ばしている。

オキャラハン氏は、移民・難民の受け入れ条件を厳格化する一連の措置を閣議承認したと述べた。これには、欧州経済領域(EEA)外出身者について国籍取得と家族の呼び寄せを厳格化することなどが含まれる。

■対岸の火事ではない

オキャラハン氏によると、難民認定申請者がアイルランド国籍を取得する要件となる居住期間は現行の3年から5年になる。

難民認定申請者が就労している場合、家賃を負担する必要があり、金額は週の収入に応じて決まる。

さらに、外国人がアイルランドに家族を呼び寄せる場合、その家族を養えるだけの経済力を示さなければならない。

オキャラハン氏は、難民認定申請者が「国家安全保障に対する脅威」と判断された場合、または重大犯罪で有罪判決を受けた場合、政府は難民認定を取り消すことができるようになるとして、「こうした状況はまれだが、こうした権限を法律で規定しておくことが重要だ」と述べた。

英国が難民受け入れ条件を厳格化し、不法移民の強制送還を容易にする制度改革を発表したのを受け、ミホル・マーティン首相は今週、アイルランドも移民・難民の流入について検討する必要があると述べた。「他国の行動はわが国に波及効果をもたらす。これは備えなければならない現実だ」と述べた。

オキャラハン氏によると、アイルランドで難民認定を申請した人の約87%が、英領北アイルランドから国境を越えて入国した。

アイルランド政府は、学生ビザの発給数制限についても検討しているという。

サイモン・ハリス副首相は今月、アイルランドに流入する移民の数が「多過ぎる」と発言し、左派の野党から政府が極右に「犬笛を吹いている」と非難された。(c)AFP