【11月25日 AFP】米実業家イーロン・マスク氏のX(旧ツイッター)がアカウントの所在地を確認できる「このアカウントについて」機能を実装したことで「世界的な荒らしの巣窟」と呼ばれるXでの、ドナルド・トランプ氏支持を含む影響力工作が浮き彫りになった。

Xのプロダクト責任者、ニキータ・ビア氏が先週末にこの機能をリリースした。この機能は、偽情報がまん延していると指摘されるXの透明性を高めることを目的としており、ユーザーが利用開始日をクリックすると、拠点国、アクセス元国、アプリストアの種類を確認できる。

ビア氏はXで、「Xの健全性を確保するための重要な第一歩だ」と述べている。

この機能のリリースは、オンラインで探り合いが始まった。

実装後間もなく、右派の有名アカウントを標的とした投稿が殺到した。これらのアカウントはトランプ氏の「米国を再び偉大に(MAGA)」や「米国第一主義(アメリカファースト)」といった政治スローガンを掲げているにもかかわらず、所在地は米国ではなくナイジェリア、バングラデシュ、東欧などだった。

偽情報監視団体ニュースガードによると、こうした米国在住と主張しながら実際には国外を拠点にしている影響力のあるトランプ氏を支持するアカウントは、過去1年3か月で31件の虚偽の主張を拡散している。これには民主党の汚職疑惑も含まれる。

この機能は、昨年の米大統領選中に「トランプ氏を支持する無党派層女性」を装い、盗用した欧州のモデルやインフルエンサーの写真を使用するMAGAアカウントのネットワークが国外で活動していると警告した研究者たちの主張を裏付けるものとなった。

英ロンドンを拠点とする情報レジリエンスセンターの調査ディレクター、ベンジャミン・ストリック氏はAFPに対し、「Xの新たなアカウント情報は、これらの『米国人』を名乗る女性の多くが実際にはタイを拠点としており、一部はミャンマーと関係があることを示している」と語った。

機能実装前は、これらのプロフィルが偽物であることは分かっても、どこを拠点としているかは分かりにくく、投稿内容の「うっかりミス」や投稿時間のパターン、言葉遣いの不規則性などに頼らざるを得なかった。

ストリック氏は、「今回の変更で、この特定のネットワークに属するアカウントの多くが東南アジアに関連していることが判明し、黒幕の特定に一歩近づいた」と付け加えた。