【11月18日 AFP】英国政府は17日、亡命制度の大幅な見直しを発表し、難民やその子どもたちへの保護を大幅に削減する方針を示した。不法移民の流入が極右の反発を招いている状況を踏まえ、これを抑制する狙いがある。「現代における亡命政策の最大の改革」としている。

シャバナ・マフムード内相は、デンマークの厳格な亡命制度をモデルにした見直しについて、フランスから小型ボートで英仏海峡を渡る移民を抑制するものだと議会で述べた。

新たな方針の下で、難民の地位は一時的な扱いとなり、30か月ごとに見直される。母国が安全と判断されれば、帰国を強制される。

さらに、難民が英国で永住権を申請できるようになるまでの期間を、現在の5年から20年に延長する方針も示した。

政府は声明で「帰国すれば危険にさらされる人々に避難所を提供する義務はある。しかし母国の政権が変わった場合、われわれの対応も変わるべきだ」とし、「ある政権から逃れてきた人でも、その政権がすでに交代していれば、帰国が可能でなければならない」と述べた。

また、新たな措置の下では子どもを含む家族も送還対象となり得るとして、この問題について協議を開始すると明らかにした。

亡命希望者や難民への支援については、自ら生計を立てる手段がある場合や法律を破った場合、支援を提供する法的義務を終了させる方針を示した。

マフムード氏は、亡命希望者が滞在費を賄うため宝石類を没収されるとの一部報道を強く否定した。ただし、資産を持つ人は費用を負担すべきだとし、「避難所を提供する寛大さを維持するには、制度に秩序と統制を取り戻さなければならない」と述べた。

2025年3月時点で、10万6000人以上の亡命希望者が政府の支援を受けている。

政府はまた、不法移民や外国人犯罪者が欧州人権条約(ECHR)を用いて強制送還を阻止することを難しくするため、法整備を進めるとした。

さらに内務省は、アンゴラ、ナミビア、コンゴ民主共和国に対し、自国の犯罪者や不法移民の送還を受け入れない限りビザ発給を停止すると警告した。今後、これら3か国以外にも対象を広げる可能性がある。英国での亡命申請は過去最高水準となっており、2025年6月までの1年間で約11万1000件が提出された。(c)AFP