【11月14日 AFP】世界最大のアザラシ種が鳥インフルエンザによって壊滅的な被害を受け、南極大陸近くの重要な野生生物保護区で、繁殖可能な雌の半数が失われたと科学者らが13日、警告した。

南大西洋にあるサウスジョージア島は、ミナミゾウアザラシの大多数が生息する場所だ。脂肪に覆われた巨体の雄は、体長が最大2メートルに達し、体重は4トン近くにもなる。顔に象の鼻のような特徴的な鼻を持つことから、その名前が付けられた。

鳥インフルエンザは2023年の世界的大流行時にサウスジョージアに到達した。大流行で鳥数百万羽が死に、多くの哺乳類や数人の人間も感染した。

科学者たちは今年、2023年に鳥インフルエンザがアルゼンチン沿岸のミナミゾウアザラシの個体群に広がり、記録上最悪の大量死を引き起こしたと警告していた。

学術誌「コミュニケーションズ・バイオロジー」に13日に発表された研究で、英国の研究チームがサウスジョージアのアザラシがどれほど深刻な影響を受けたかについて初めての推定を示した。

英国南極調査局の海洋生態学者で、この研究の主著者のコナー・バンフォード氏はAFPに「非常に厳しく、胸が痛むような状況だ」と語った。

1995年の調査によると、サウスジョージアには全ミナミゾウアザラシの54%が生息している。

2022年と2024年の同じ日に、科学者らはドローンを使用して、島の三大繁殖地の画像を撮影した。

鳥インフルエンザが到達した後、繁殖可能な雌の数は47%減少し、約5万3000頭のアザラシが失われたと研究は示している。