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【11月10日 KOREA WAVE】韓国で60歳から65歳への法定定年延長が与党主導で推進される中、中小企業では「賃金調整なしの定年延長は雇用の二極化を深める」との懸念が出ている。共に民主党は党内「定年延長特別委員会」で、韓国労総・民主労総、経営者総協会、中小企業中央会と「65歳定年延長」について議論中だ。最近、労働団体は「年内に法案を通過させてほしい」と要求。これにより与党も最終案のとりまとめを急いでいる。

定年延長の目的には労使ともに共感している。高齢者の早期退職は所得の空白や年金財政の不安定化につながるためだ。しかし中小企業が懸念するのは「賃金調整の有無」だ。退職後、昇給で上がった賃金を減らして再雇用する“選別的再雇用”を中小企業側は要望している。一方、労働界は「賃金を減らさない定年延長」を法制化すべきと主張しており、中小企業は「人件費の負担が大きくなる」と反発している。

韓国銀行の2024年企業経営分析によれば、中小企業の売上に占める人件費比率は18.1%で、大企業(9.4%)の約2倍にのぼる。さらに中小企業では定年制度自体が整備されていないことが多く、5~9人規模の企業では導入率が17.6%、10~49人規模では45.1%にとどまる。300人以上の大企業では90%に達している。

中小企業中央会の関係者は「定年延長を義務化すれば、大企業の正社員だけが恩恵を受ける。定年なしで転職を繰り返す中小企業の非正規職労働者との格差が広がる」と指摘する。現実的な代案として「就業規則変更の手続き緩和」が挙がっている。現在は賃金変更には労働者の同意が必要だが、今後は「協議」によって可能とする例外規定が必要だという声もある。

また、国会立法調査処は「中小企業は定年延長による負担が大企業と異なる。雇用支援金や税制優遇などの対策を併せて導入すべきだ」と提言している。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News