【三里河中国経済観察】不動産業は高品質な発展へ新たな段階を迎える
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【11月7日 CNS】中国の不動産業界の発展において、民生重視への転換が急速に進んでいる。
先ごろ発表された「中共中央の国民経済・社会発展第十五次五か年計画策定に関する提案」(以下「提案」)では、ある記述が注目を集めている。
それは「不動産業の高品質な発展の推進」が「民生保障と生活水準向上の強化」の枠組みの中で位置づけられた点である。これに対し、「第十四次五か年計画」では不動産関連の記述は新型都市化の項目の中に含まれていた。
この基本設計の変更は、今後5年間の不動産業発展の中核的な方向性を明確にするもので、民生における位置づけと居住機能がかつてないほど重視されることを意味する。
「不動産業の高品質な発展を推進することは、本質的には住宅不足の解消から、居住品質の向上と社会の公平性促進へ向けた戦略的昇華である」と、58安居客研究院の張波(Zhang Bo)院長は中国新聞社(CNS)の「三里河中国経済観察」の取材で語った。
これは、業界の評価基準が従来の投資規模や販売実績から、人びとの「良い家」「良い生活」への期待に応えることへと転換することを意味する。
不動産に関する具体的な施策では、「新たな不動産発展モデルの構築加速」が最優先事項に位置づけられており、業界の発展が転換期を迎える中での必然的な選択と言える。
第十四次五か年計画期間中、全国で販売された新築分譲住宅の累計面積は約50億平方メートルに達した。中古住宅市場の規模は持続的に拡大を続けており、現在全国15の省・自治区・直轄市で中古住宅の取引量が新築住宅を上回っている。
住宅都市農村建設部のこれらのデータは、中国の不動産開発が、大規模な取り壊しと新築が中心の「新規開発時代」から、都市再生が中心の「存量時代」へと移行したことを示している。
この転換には、不動産の開発、資金調達、販売などの基本制度を全方位的に改善する必要がある。
開発面では、プリセール制度の改革や住宅品質の向上などが関わる。
資金調達面では、REITsなど多様な資金調達手段の発展が重要となる。
販売面では、購入制限や融資制限政策の柔軟な調整などが含まれる。
不動産変革の根本的な要因は、市場の需給関係の構造的な変化にある。
住宅都市農村建設部政策研究センターの浦湛(Pu Zhan)副主任が指摘するように、今回の不動産市場調整は、需給関係の重大な変化による中長期的な趨勢的な調整であり、新規開発主体から新規と中古の両立へと転換する中での、需給関係の再バランス過程なのである。
こうした状況の変化を受け、「提案」は「保障+市場」という二つの柱に沿って対策を講じている。
「保障」の重点は「居住の安定確保」にあり、保障性住宅の供給を充実させ、都市部の給与所得者層や各種困窮世帯の基本的な住宅ニーズを満たすことにある。
第十四次五か年計画期間中、我国では各種保障性住宅や都市村、老朽危険住宅の建て替えなどのための住宅合わせて1100万戸(室)以上を建設・調達し、3000万人以上の住民が恩恵を受けた。
第十五次五か年計画期間中には、保障性住宅の規模、地域分布、製品構成により一層の政策的配慮がなされると見込まれる。
「市場」の重点は「良好な居住環境の実現」にあり、都市ごとの実情に応じた施策によって、改善型住宅の供給を増やすことにある。
この点については、市場ですでに変化が現れている。中指研究院(CIH Index)のデータによると、2025年前三半期、主要30都市における120-144平方メートルの住宅販売割合は30%に達し、大型ユニットが新築市場の主流となっている。
「不動産業の高品質な発展」が民生保障の項目に組み込まれたことは、新たな不動産発展モデルの主要な方向性を決定づける。
不動産関連企業にとっては、安全で快適、環境配慮型かつスマートな「良い家」の建設も、老朽化した住宅地区の改修、充実した居住コミュニティの整備、あるいは老朽化した街区、工場地区、都市村などの再生事業への参画も、すべて「居住の安定確保と良好な居住環境の実現」という原則に沿わなければならない。
不動産業は依然として重要な産業である。しかし、市場の変容は全面的に進んでおり、業界が如何に高品質な発展を実現するかは、単に不動産企業のみならず、全ての人びとの将来の生活に関わる課題なのである。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News