【8月21日 CNS】北京不動産市場で購入制限緩和が実施され、職住近接と都市空間の最適化が推進される。8日、北京市住房都市農村建設委員会と北京住房公積金管理センターは新たな不動産関連政策を発表し、条件を満たす世帯に対して五環外(五環道路<北京第五環状道路>の外側エリア)での購入物件数制限を撤廃した。この政策の背景には、北京市の新築住宅在庫の81.4%、中古住宅の約50%が五環外に集中している現状がある。1-7月の住宅販売データでも、五環外が新築で80%以上、中古で50%以上のシェアを占めており、郊外エリアの市場活性化が急務となっていた。

対象となるのは北京市戸籍世帯や一定期間以上社会保険・所得税を納付している非戸籍世帯で、資産運用目的の購入も可能となる。ただし、政策はあくまで段階的な緩和であり、市場の過熱を防ぎつつ改善需要を喚起する慎重な姿勢がうかがえる。同時に公的積立金の支援策も強化され、二重の政策メリットが提供される。

2024年「930」政策以来の大きな規制緩和は、上半年の新築住宅販売面積が前年比0.8%減と低迷していた状況を受けたもの。五環外の制限撤廃により、人口と産業の郊外移転が促進され、都心部の人口圧力緩和と都市空間の再編が期待される。現在の中国不動産市場では、大都市中心部と郊外・地方都市の間に明確な温度差が存在しており、今回の政策はこうした格差是正にもつながるとみられる。

住宅都市農村建設部の倪虹(Ni Hong)部長が指摘するように、都市発展における「吸い上げ効果」への対策として、北京市は上海市とは異なるアプローチで郊外エリアの活性化を図っている。不動産市場の安定化には、各都市の特性に合わせたきめ細かい政策対応が不可欠だ。今回の規制緩和は、北京の都市構造転換と不動産市場の健全化に向けた重要な一歩と言える。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News