【10月15日 CNS】国慶節と中秋節の連休中、中国では前例のない大規模な人の移動があった。

交通運輸部のデータによると、今年の中秋節と国慶節の8日間、社会全体で地域間の人的流動は累計24億3300万人に達し、1日あたり平均3億400万人という数字が記録された。これは2024年同期比で1日平均6.3%の増加となり、過去最高を更新した。この3億400万人という数字は、連休中に中国が毎日、米国の人口に相当する人数を移動させたことに等しいと言える。

この数字は、中国の消費構造の変化、市場の強さや潜在力を映し出している。

このデータが示す意味を議論する中で、より注目すべき現象がある。それは、中国の消費が「地方都市や中小都市への拡大(ダウン)」を見せる一方で、体験型消費が「高度化(アップ)」している点だ。

あるプラットフォームのデータによると、県域(郡部や地方都市)の旅行予約数は前年同期比で51%増加した。江蘇省(Jiangsu)東台市(Dongtai)、浙江省(Zhejiang)海寧市(Haining)、安徽省(Anhui)涇県など、ニッチな観光地の予約数は倍増している。これにより、中国の祝日消費がもはや大都市の商業エリアに限定されず、消費の活力が広範な市場に浸透していることが分かる。

たとえば、重慶市(Chongqing)の栄昌区では、国慶節の初日と2日目の観光客数が合計57万6300人に達した。安陶小鎮などの有名観光地では、観客数が200%以上急増した。

無形文化遺産の文化が流行していることも、消費の高度化の新しい方向性を示している。たとえば、あるプラットフォームでは、国慶節・中秋節連休中のガラス工芸の受注数が前週比270%増、江蘇省蘇州市(Suzhou)の伝統的な語り物芸術「評弾」の受注数は150%増加した。

このようなデータの背景には、都市間の競争が新たな次元に入っている現実がある。旅行プラットフォームが発表した国慶節・中秋節連休中の文化観光消費額トップ10の目的地都市には、江蘇省南京市(Nanjing)、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)、陝西省(Shaanxi)西安市(Xi'an)、北京市、重慶市(Chongqing)などが名を連ねている。

その背景には、江蘇省のサッカーリーグ「蘇超」のトーナメント試合の観客動員数が記録を更新したことがある。初のトーナメント試合で観客数が6万1355人となり、この試合を観るために多くの観光客が訪れた。さらに、北京ではWTTチャイナスマッシュ2025やチャイナ・オープンが開催され、石景山区では「チケット経済」を導入して、試合のチケット提示で200以上の店舗で割引が受けられるようになり、消費を牽引した。

数字の背後には、中央から地方にかけての政策的な組み合わせがある。10月1日には、中央財政から690億元(約1兆4777億円)の補助金が交付され、文化観光消費月間が開始された。また、各地で消費券が発行され、消費意欲をさらに活性化させる動きが見られた。

商務省が監視する主要な電子商取引プラットフォームのデータによると、連休中、グリーン・オーガニック食品の販売額は前年同期比で27.9%増、スマートホーム製品は14.3%増、国潮(中国スタイルの新潮流)ファッションは14.1%増となった。

この国慶節・中秋節の連休では、外出者数、観光収入、映画の興行収入など多くのデータが増加しており、文化、商業、観光、スポーツが深く加速的に融合し、相互に活性化し合い、中国のホリデー経済における新たな原動力が徐々に表面化している。

特筆すべきは、国内での「ダウン(地方拡大)」だけでなく、海外からの観光客の訪中も着実に「上昇」している点だ。国家移民管理局の発表によると、国慶節・中秋節連休期間中、入国した外国人は75万1千人で、ビザ免除政策を適用して入国したのは53万5千人であり、前年同期比でそれぞれ19.8%、46.8%増加した。連休は終わったが、消費の活力はまだ続いている。

24億3300万人という数字は、単なる数値ではなく、中国経済を観察する窓となっている。

消費はもはや単なる物の購入にとどまらず、多様な体験を求めるものへと変化している。また、消費の中心は大都市から地方や中小都市へと広がり、物質的な充足から精神的な満足を求めるようになってきている。このような変化の中で、中国の消費市場は大きな変革を遂げている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News