【10月7日 CNS】先日、ニューヨークの国連(UN)本部で開かれた「グローバル発展イニシアティブ」ハイレベル会合において、中国政府は正式に「人工知能+」国際協力構想を打ち出し、世界に向けて開放と協力の明確なシグナルを示した。

「人工知能+」が国連の場に登場した背景には、人工知能(AI)のガバナンスに対する世界的な強いニーズがある。

「人工知能の利用は基本的権利とみなされるべきだ。人びとはこの技術を使って自らの潜在力を発揮し、未来を築くことができる」。今年9月、人工知能企業オープンAI(OpenAI)は記事の中でそう述べ、特に低所得国や中所得国でチャットGPT(ChatGPT)の利用が急速に拡大していることを示した。

同じ9月、別のAI企業アンスロピック(Anthropic)は「人工知能の利用は富裕地域に集中しており、これは世界の経済的不平等を拡大させかねない」と指摘した。

各社が相次いでAIの利用状況に注目し始めたことは、技術の恩恵をいかにしてすべての人びと・すべての国に行き渡らせるかが、ますます重要になっていることを示している。

国連のアントニオ・グテーレス(Antonio Manuel de Oliveira Guterres)事務総長も「人工知能は持続可能な発展を加速させ、平和を促進する可能性を持つが、各国が未来を形作る機会を平等に持つ必要がある」と強調している。

「人工知能+」国際協力構想の核心は、人類運命共同体という理念に基づき、人工知能を先端技術にとどめず、世界の経済・社会発展を支える基盤的な力に転換することにある。構想は各国が自国の状況に応じて「民生福祉」「科学技術の進歩」「産業応用」「文化の繁栄」「人材育成」の五つの重点分野で「人工知能+」の取り組みを進めることを呼びかけ、相互尊重と互恵を基盤とした協力を通じて、グローバルサウス諸国を含む世界の人びとが広く恩恵を受けられるようにすることを目指している。

この構想の背景には、中国が人工知能分野で積み重ねてきた技術革新とガバナンスの実践がある。

深度求索(DeepSeek)をはじめとするオープンソースモデルが技術の平等化を推進し、数千規模の大規模モデルが次々と登場している。AIの応用は各業界に広がり、さらに今年8月に発表された国務院の「『人工知能+』行動を深化実施するための意見」というトップレベルの設計も示された。こうした中国の実践が、この国際構想を支える強固な裏付けとなっている。

人工知能がもたらす変革は単なる技術の更新にとどまらず、人類の未来全体に関わる大きな転換である。そのため中国の構想は、特にグローバルサウス諸国を発展の軌道にしっかりと組み込むことを強調している。

清華大学(Tsinghua University)人工知能国際ガバナンス研究院副院長で人工知能ガバナンス研究センター主任の梁正(Liang Zheng)氏は「これは本質的に、中国が人工知能の時代に世界へ提供する新たな公共財だ」と語る。それは「人工知能は人のために役立つものでなければならない」という共通認識を凝縮したものだ。つまり技術は経済的利益の追求にとどまらず、世界が共通して直面する社会や生活上の課題に正面から向き合うべきだということである。

たとえば構想が提唱する遠隔医療は、辺境地域でも質の高い医療資源を共有できるようにすることを目指す。教育資源の共有推進は、世界的な教育格差を縮小することにつながる。さらに教育資源の共創や人材交流を通じて、各国にデジタル素養と国際的な視野を備えた人材を育成し、根本的に公平な発展機会を広げることを狙っている。

復旦大学(Fudan University)中国研究院の劉典(Liu Dian)准研究員は「この構想が掲げる普遍的な共有の理念は、新技術の波の中で途上国が再び取り残されないようにするためのものだ。中国が推進する技術と人材資源の共有は、歴史的な技術格差による新たな不平等を補う役割を果たす」と指摘している。

全体を見れば、梁正氏がまとめたように、中国は大規模モデルのオープンソース化、豊富な応用シナリオ、そして実践を通じて形成したガバナンスの枠組みによって、グローバルサウス諸国に理念から実践までを包含するAI発展の解決策を提供している。

これはすなわち、世界の人工知能をめぐる物語の中で、中国が積極的な参加者であるだけでなく、責任ある構築者であり共有者として、世界と共に、より公平で包摂的な知能化された未来へと歩んでいることを示している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News