【9月28日  People’s Daily】世界で使われるスマートフォン5台のうち1台、アニメ関連商品4個のうち1個、セーター5着のうち1着が「東莞製」である。

広東省(Guangdong)東莞市(Dongguan)の発展の鼓動は、常に世界のサプライチェーンや供給ネットワークと共振し続けてきた。

今年1~4月、東莞市の対外貿易輸出入総額は4863億5000万元(約10兆90億円)で、前年同期比19.4%増、このうち輸出は2916億元(約6兆円)で、前年同期比11.9%増となった。

国際市場のリスクや外部的な困難にどう対処し、耐性をどう維持しているのか?

「国際製造業の拠点都市」といわれる東莞市で、その答えを探った。

高さ1メートルから26種類の角度で繰り返し落下させ、電源ボタンを15万回押す、座圧シミュレーションを1000回繰り返すなど、東莞市のスマートフォンやタブレット端末のメーカー「Vivo」の品質実験室では、新機種のスマホの量産出荷前に義務付けている耐久テストが行われていた。

同社の昨年の海外向け出荷台数は9700万台を超え、今年第1四半期の世界市場シェアは第4位だった。外部環境から受ける衝撃や困難に直面する中で「Vivo」は強力な市場耐性を示している。

「Vivo」のサプライチェーンのパートナーは約400社に上り、ディスプレー、カメラ、電子部品、構造部品、半導体など多岐にわたる分野をカバーしている。10年以上の協力関係にあるパートナーは25%を占め、協力の間に上場を果たした企業も複数あり、互いに協力し合いながら前進している。

現在「Vivo」は60以上の国と地域をカバーし、世界5億人以上のユーザーにサービスを提供する多様な市場構造を形成している。同社の胡柏山(Hu Boshan)執行副総裁兼COOは「中国市場でも海外市場でも、ユーザー志向と自主研究開発を堅持すれば、市場の波風にも耐える底力が得られる」と話す。

「Vivo」の成長過程は、東莞市の携帯電話及び電子情報産業の発展の縮図である。1995年に最初の「東莞製」携帯電話が誕生してから30年を経て、現在では東莞市の携帯電話生産台数は世界の5分の1を占めるまでになった。

東莞市濱海湾新区では、技術研究開発、製品製造、データサービスを一体化した「人工知能(AI)島」の建設が急ピッチで進められている。同区の党工作委員会の羅斌(Luo Bin)書記は「6年間をかけて全国のAI全域応用先導区を構築し、AI関連の生産額を600億元(約1兆2348億円)にすることを目指している」と説明した。

東莞市工業・情報化局の関係者は「国際市場の不確実性に対応するには、自社の製品をいかに強くするかが重要だ」と強調する。市では、経済と社会の発展の需要に応えるため、一定の基盤を有し、応用範囲が広く、波及効果が大きい重点分野を選んだ結果、ロボット製品の開発、技術革新から応用シーンまでを系統的に推進することにしたという。

「米国が一方的に関税を乱用した影響で、1000件以上の海外注文が緊急キャンセルとなった。その後米国が中国への関税を調整したので、顧客から出荷再開の要請が相次いだが、全体的なコストは依然として高いレベルにある」、東莞市の玩具メーカー「玩楽童話嬰児用品」の王振(Wang Zhen)董事長は率直にこう語った。

王氏は「わが社は対米貿易額が輸出額全体の20%を占めているが、今まさに販売先構成を転換させる良い機会だ」と言い、可愛らしい小象のような人形を取り出して見せた。しかしその人形の鼻は短く、頭の上には角が一本生えている。

王氏の紹介によれば、これは神話に登場する「夢喰い獣(バク)」をモチーフに開発したシリーズ玩具で、すでに東南アジア、欧州、日本などに150点以上を輸出し、年間輸出額は1000万元(約2億580万円)以上に達しているという。

外部的な困難に対処する上で重要なのは、変化に応じて変わることだ。同社はブランドIP(知的財産権)を強化し、文化的オリジナリティーに富んだ「国潮(中国風トレンド)玩具」をより多く販売する一方、販売戦略を最適化調整し、「内外貿易一体化」の道を模索している。

中国EC大手「京東(JD.com)」が4月11日、2000億元(約4兆1160億円)規模の「輸出から内需向けへの転換支援計画」を発表するとすぐ、同社はそのチャンスを捉え、一挙に5000万元(約10億2900万円)の内需向け転換の大口注文を獲得した。 

外部的な困難に直面した際の多様な国際市場の開拓も、東莞の企業の共通な選択肢となっている。今年1~4月、東莞市の「一帯一路(Belt and Road)」構想参加国との輸出入額は前年同期比28.8%増、東南アジア諸国連合(ASEAN)とは同45.4%増、中央アジア5か国向けは同56.3%増となった。

今年3月、「玩楽童話嬰児用品」が居を構える茶山鎮で、地元政府、テクノロジー企業、地元業界団体が「AI+毛絨玩具産業スマート化クラスター戦略協力協定」を結んだ。その1か月後、地元で開発されたAI玩具の第一陣が集中的に発表され、順次市場に投入されている。

茶山鎮の関係者は、「市場がどう変化しようと、産業が技術、ブランド、サービスなどの高付加価値分野で加速的に躍進するという方向性は、一貫して揺るぎないものだ」と述べている。(c)People’s Daily /AFPBB News